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樹木医/岡山 瑞穂さん

樹木医/岡山 瑞穂
「等々力のケヤキ」
Profile

岡山 瑞穂/ 樹木医
1968年東京生まれ、熊本県出身。九州造形短期大学デザイン科卒業後、造園建設業会社に入社。2001年に樹木医合格。熊本県女性第1号の樹木医となる。2004年には熊本日々新聞にてコラム連載や、雑誌などの執筆を行う。2007年6月には、東京にて樹木医としてより多くの環境事業に携わるべく、新事務所「木風KOFU」開設。現在、デザインのできる樹木医、樹木診断のできるデザイナーとして活動中。



樹冠の内側を仰ぎ見る

樹冠の内側を仰ぎ見る

ケヤキの全景

ケヤキの全景

ケヤキの根元の様子

ケヤキの根元の様子



 まるで大地を勢い良く割って伸びてきたかのような力強い根張り。隆々とした艶のある幹。全く何の迷いもなく堂々と空に張り出している枝々。初夏の日差しを精いっぱいに受けて輝く緑の葉。

 思わず「わっ!」と声が出た。私を圧倒したのは等々力のケヤキだった。

 都内唯一の渓谷へ誘う大きなケヤキ。街の中にこれほど大きなケヤキがあるとは思いもよらなかった 。

 ケヤキはやっぱりこの伸び伸びとしたほうき状の枝振りが美しい。すうーっと一筆書きのような姿は洗練された印象を持つ。それでいて大きくなればなるほど力強さが加わり荘厳な印象に変わる。

 これだけ大木になる木なので、庭に植えるとなるとその条件が許される場合は少ないだろう。シンボルツリーにはよく見かける。その場合でも植え枡にはゆとりを持った方がよい。根の力は舗装を持ち上げることなど簡単だし、樹木にとって根は養分・水分を吸収する大切な器官なのはご承知の通り。さらに、呼吸もしているから酸素の供給がされにくいと微生物の働きも弱り、土壌環境は悪化する。

 根の張っている範囲は樹冠が目安と言われているが、実際はそれ以上だ。根元が窮屈では逆に酸素を求めて根が上がってくる。舗装を壊すのも無理もない。行き場を失った根が自分で自分の首(幹)を絞めている光景もしばしば見られる。

 傷付いた根からは腐朽菌が侵入しやすくなるので、これからの季節、草刈などには注意を払った方がよい。

 もし、それでも家庭でケヤキを植えてみたい、ということなら、品種改良された「ムサシノケヤキ」という種類がある。これは元のケヤキより枝張りの幅が狭く、上方伸長するのが特徴だ。比較的狭小な土地でもケヤキの風情が楽しめる。とはいえ大木であることに変わりはないので、その点はあらかじめ理解しておくことが望ましい。

 生い茂った葉が与えてくれる緑陰の下で光と音を浴びると、エネルギーが満ちてくる気がする。



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