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管理に関するFAQ

総会・理事会の運営

管理組合法人の監事が総会で理事の解任を決議することを認めた裁判について

管理組合法人の監事が、総会で理事の解任を決議することを認める裁判があったと聞きました。どういうことでしょうか。

  2018年9月25日、管理組合法人の監事が、理事の解任を議題にして臨時総会を招集し、決議することを、東京高裁が認める判断を示しました。
 本件は臨時総会決議により解任された理事4人が、前橋地裁に地位保全の仮処分を申請、前橋地裁が却下したのに対して3人が抗告(裁判所の決定に対する不服を上級の裁判所に申し立てること)し、そのうち2人の抗告棄却を東京高裁が決定しています。
 解任された理事の主張は「監事は、報告のための臨時総会招集権はあるものの、区分所有法や管理規約上、理事解任決議案を提出して総会で採決させる権限は全くない、決議は違法な手続きによるものだから無効」だというものでした。
 本件団体は管理組合法人で、区分所有法第50条(監事)の規定が適用されます。規定によれば、監事の職務は「財産の状況または業務の執行について、法令もしくは規約に違反し、または著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること、報告をするため必要があるときは、集会を招集すること」とあり、「監事の総会招集権は、集会(総会のこと)に報告するためのものであって、理事解任を決議することはできない」との解釈が可能です。
 一方で、管理規約には「監事は、管理組合の業務の執行および財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる」との標準管理規約と同様な規定がありました。
 これについて裁判所は、区分所有法と管理規約の条文の違いを指摘して、監事の総会の議案提出、決議を求めることについて以下の通りの判断を示しました。
・区分所有法の規定は強行規定ではなく、管理規約で異なる規定を置くことも許される
・本件管理組合法人の管理規約によると、臨時総会の招集については、報告のみに限られず、不正な業務執行等に関わる理事の解任等、自ら必要と考える対応策を議案として提出することもできる、と解釈することが可能
・以上のことから、本件に係る監事による総会招集、並びに議案の決議は有効である
 以上により、標準管理規約と同様な規定があれば、監事は「管理組合の業務の執行および財産の状況について不正がある」時に、自ら必要と認める議案を提出し、その決議を求めることができると解されます。
 参考に、本件は管理組合法人でしたが、管理組合法人でない場合は、区分所有法第50条(監事)の規定が適用されません。

区分所有法
(監事)
第50条 管理組合法人には、監事を置かなければならない
2 監事は理事または管理組合法人の使用人と兼ねてはならない 
3 監事の職務は、次のとおりとする
一 管理組合法人の財産の状況を監査すること
二 理事の業務の執行の状況を監査すること
三 財産の状況または業務の執行について、法令もしくは規約に違反し、または著しく不当な事項があると認めるときは、集会に報告をすること
四 前号の報告をするため必要があるときは、集会を招集すること
(以下 略)

マンション標準管理規約
(監事)
第41条 監事は、管理組合の業務の執行および財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければならない
2 監事は、いつでも、理事および第38条第1項第2号に規定する職員に対して業務の報告を求め、または業務および財産の状況の調査をすることができる
3 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することができる
4 監事は、理事会に出席し、必要があると認めるときは、意見を述べなければならない
5 監事は、理事が不正の行為をし、もしくは当該行為をする恐れがあると認めるとき、または法令、規約、使用細則等、総会の決議もしくは理事会の決議に違反する事実もしくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なく、その旨を理事会に報告しなければならない
6 監事は、前項に規定する場合において、必要があると認めるときは、理事長に対し、理事会の招集を請求することができる
7 前項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することができる

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2018年12月掲載

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あらかじめ通知していない事項についても決議できるようにすることは可能か

当管理組合の、毎年の通常総会では、多くの区分所有者の皆さまに出席いただき、活発な議論が交わされています。そういった中で、総会では「あらかじめ通知した事項のみしか決議ができない」ため、もどかしい思いをすることがよくあります。多忙な中お集まりいただいた貴重な場なので、出席された方の意見がよいものであれば、あらためて総会を開くのではなく、その場で決議すれば柔軟で効率的な管理組合運営ができると考えています。当管理組合はマンション標準管理規約に準拠しており、「あらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる」との規定があります。あらかじめ通知していない事項についても決議できるようにしたいと考えていますが可能でしょうか。

  マンション標準管理規約では、第47条(総会の会議及び議事)に「10 総会においては、第43条第1項によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議することができる」と規定されています。また、区分所有法には以下の通りの規定があります。
(決議事項の制限) 
第37条  
1.集会においては、第35条の規定によりあらかじめ通知した事項についてのみ、決議をすることができる。
2.前項の規定は、この法律に集会の決議につき特別の定数が定められている事項を除いて、規約で別段の定めをすることを妨げない。
3.(省略)
※集会とは、総会のことを指します。
 マンション標準管理規約第47条第10項の規定は、この区分所有法第37条第1項を確認的に規定したものです。その一方で、区分所有法第37条第2項では「特別多数決議事項」を除けば、「規約で別段の定めをすることを妨げない」と規定しています。したがって、「あらかじめ通知していない事項についても決議できる」という趣旨を管理規約に規定すれば、「特別多数決議事項」を除き、あらかじめ通知していない事項についても決議することが可能です。
 ただし、管理組合の運営においては総会で議論を交わして意思決定することが原則であることや、区分所有法の趣旨を踏まえると、あらかじめ通知していない事項の総会決議は極力避けるべきでしょう。また、別段の規定を定める場合も、「議長や一部の出席者による恣意的な総会運営」がされたり、「総会欠席者が事前に知らされていない事項について思わぬ決定がされてしまう」などのトラブルが発生することが懸念されます。
 そこで、「特別多数決議事項」を除外することは当然のこととして、誰もが予測可能な範囲に限定された、例えば緊急的・応急的な事項や通知された事項に関連する事項に限るなどの規定にしたり、一部の区分所有者の利害にかかわる事項を除外した規定にするなどの配慮が必要です。
 なお、この規定の制定は、規約改正の手続きを要することは言うまでもありません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2019年4月掲載

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入居者名簿を全戸で共有することは可能か

マンション管理組合の理事長をしています。当管理組合では、緊急時に備えて各住戸の入居者名簿を作成して管理していますが、このたび、大規模災害の発生等、緊急時に備えて入居者名簿を全戸で共有しておくべきではないか、との意見が寄せられました。管理組合として入居者から預かっている個人情報をどのように取り扱うか悩んでいます。

 標準管理規約第64条では、「理事長は、会計帳簿、什器備品台帳、組合員名簿及びその他の帳票類を作成して保管し、組合員又は利害関係人の理由を付した書面による請求があったときは、これを閲覧させなければならない」と記載されておりますが、平成29年5月30日に改正個人情報保護法が全面施行され、個人情報を取り扱う「すべての事業者(法人に限らずマンションの管理組合などの非営利組織も含む)」に個人情報保護法が適用されることになっていますので、個人情報の取り扱いについてはより一層の注意が必要です。改正法では個人情報の取り扱いについて、以下4つの基本ルールが規定されています。
(1)個人情報の取得・利用
 利用目的をできる限り特定すること。
(2)個人データの安全管理措置
 個人情報が漏えいしないよう「鍵のかかる棚で管理」「データへのパスワード設定」「PCへのセキュリティーソフトのインストール」等の安全管理措置を講じること。
(3)個人データの第三者提供
 第三者に個人データを提供する場合にはあらかじめ本人の同意を得ること。(なお、法令に基づく場合、人命に関わる場合等で、本人の同意を得るのが困難な場合にはこの限りではない)
(4)保有個人データの開示請求
 本人から個人情報の開示請求を受けた場合は、原則応じなければならないこと。
 本件のケースであれば、「提示頂いた情報を組合員名簿に記載すること」、「災害発生時に備えた名簿として全戸に配布すること」を説明し、本人の同意を事前に得ておく必要があると考えられます。
 また、標準管理規約第31条では、組合員は管理組合に対して氏名を届出することが義務付けられています。電話番号や家族構成等については明記されておらず、届出は任意とされていますが、電話番号等は管理組合運営、緊急対応等を行うために必要な情報であるため、「情報の利用目的を事前によく説明」した上で情報提示を依頼するべきでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2019年5月掲載

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1棟の中の区分所有建物の競売請求を行うには団地総会の決議が必要か

現在、私の住んでいるマンションに高額滞納者がおり、区分所有法第59条に基づく競売請求を検討しています。私の住んでいるマンションは、1つの土地に複数棟の区分所有建物(マンション)が存在する、いわゆる「団地」で、管理規約では、各棟の棟総会と全棟の団地総会があります。このような場合、1棟の中の区分所有建物の競売請求を行うためには、団地総会の決議が必要になりますか。それとも、棟総会の決議が必要になるのでしょうか。

 区分所有法(以下、「法」という)では、共同の利益に反する行為を行う、又は、行為を行う恐れのある義務違反者に対する措置として、行為の停止請求、専有部分の使用禁止請求、区分所有権の競売請求、占有者に対する引渡し請求を定めています(法第57条、第58条、第59条、第60条)。また、これらの規定は、義務違反者に対してその者の財産の使用禁止や競売まで請求し得るのは、1棟の建物内において、区分所有者間にはその建物の管理や住環境が相互に密接な関係を持たざるを得ない点を根拠とするものであり、団地内の他の建物の区分所有者間にまで及ぶことは相当ではないとして、団地団体には準用されない規定になっています(法第66条)。
 そのため、今回のケースのように、高額滞納者に対して、法第59条に基づく競売請求を行うことを決議するためには、棟総会の決議で足り、団地総会の決議は必要ありません。
 仮に、管理規約において、義務違反者に対する措置について、団地総会で決議する旨が定められていたとしても、法第57条、第58条、第59条、第60条の規定は、管理規約で別段の定めをすることができない強行規定であるため、団地総会で決議する旨の管理規約の規定は法的効力を有しないことになります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2019年6月掲載

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役員のなり手不足の解決策は

組合員の高齢化によって役員のなり手不足が問題になっています。解決策はないでしょうか。

 高齢化社会の現代において、組合員が高齢で役員の仕事を満足に務めることができない、という問題はさまざまな管理組合で問題になっています。
 この問題の解決案の1つとして、管理規約を変更することによって「役員の資格要件」を緩和し、役員のなり手となる資格者を増やす方法が考えられます。
 国土交通省は、役員のなり手不足という実態を踏まえ、2011年(平成23年)7月、マンション標準管理規約の規定を改正し、役員の資格要件を緩和しました。
 すなわち、これまでのマンション標準管理規約第6章第3節の「役員」の項において、「理事及び監事は、〇〇マンションに現に居住する組合員のうちから、総会で選任する」と規定していましたが、これを「理事及び監事は、組合員のうちから、総会で選任する」と改正し、現に居住する組合員だけでなく、マンションの外部に居住する組合員であっても、役員に選任することが可能となりました。
 現に居住する組合員は、マンションの現状を把握しやすいため、管理組合の運営に深く携わる役員として適任と考えられますが、一方で、外部居住役員を入れることにより、これまでにない客観的・第三者的視点での意見が期待できる、という考え方もあります。
 もう1つの案としては、管理規約の変更が必要となる場合がありますが、役員報酬を支払うことで問題の解決を図る方法です。
 高齢で役員ができない組合員を役員の候補から外していくと、高齢でない組合員が頻繁に役員にならざるを得ないという不公平な事態が生じます。この問題を解決する方法として、役員に報酬を支払うことによって、役員とそれ以外の組合員との不公平感を軽減する方法です。
 この方法では、報酬を支払う対象を理事長だけなのか役員全員なのか、報酬を支払う額は役職によって異なるのか、また、理事会の出席率や出席回数に応じて支払うのかなど、報酬の意味合いや報酬に対する考え方が組合によって異なりますので、トラブルを避けるためにも「役員報酬に関する細則」を作成しておくことが必要です。
 また、役員に報酬を支払うとしても、役員に組合運営の全てを任せきりにせず、自らも組合員の1人として組合運営に参加しているという意識を持つことがぜひとも必要なことです。
 

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2019年7月掲載

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