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沖縄ハッピーテイルズ代表/平野 紫映さん

村上 暁子さん
保護犬と、何があってもずっと家族
Profile

平野 紫映さん/沖縄ハッピーテイルズ代表

2014年に保健所行き寸前の犬を引き取り、沖縄の殺処分の現状を知る。その後、動物愛護団体でのアルバイトを経て独立。17年に知人の畑にテントを設置し、活動開始。同年、団体間で協働し、沖縄県初「ガス処分なしの年末」を達成。翌年、一般社団法人として登録。
インスタグラム「@okinawahappytails」
Facebook 「沖縄ハッピーテイルズ」


 近年、「保護犬」という名称を耳にする機会が増えうれしく思います。ペットショップで動物を購入する行為に「何かおかしいぞ」と気づき、保護犬を家族に迎えるという選択をする人がいることに大きな希望を感じています。

保護犬と戯れるスタッフ
保護犬と戯れるスタッフ
替え歌で動物愛護を呼びかける動画を配信する YouTube「沖縄ハッピーテイルズ」
替え歌で動物愛護を呼びかける動画を配信する
YouTube「沖縄ハッピーテイルズ」

 保護犬とは、自治体が運営する動物愛護センターで収容された後、愛護団体により引き出され、保護され、新たな家族を探している犬たちに使われる総称です。

 動物愛護センターには、迷子になった、飼い主やブリーダーに遺棄された、飼い主に持ち込まれた、または野犬として生きていた犬が収容されます。この仔たちは「収容犬」と呼ばれます。

 沖縄ハッピーテイルズは、収容犬を引き出し保護犬にし、その仔たちを「家庭犬」にするべく、SNSを駆使して、沖縄から全国の里親希望の方に向け、保護犬情報を発信しています。

 収容犬の殺処分の実態は地方により大きな開きがありますが、その数を問題視するのではなく、人間の都合で動物が処分されることがない世界を目指して活動しています。捨てる人間を取り締まる必要もさることながら、助けたいと思っている人間を開拓することに重きを置いてきました。

 収容犬を助けるために何をしたら良いのか。保護犬の里親になるにはどう準備したら良いのか。具体的に分かりやすく解説する動画をYouTubeで配信しています。「多頭飼育崩壊」や「飼育放棄」の問題に対しては替え歌動画を配信し、動物愛護の啓蒙活動にも力を入れています。

毎月行なっている里親の会の様子
毎月行なっている里親の会の様子

 ウイットとユーモアを持って「明るく挑戦し続ける」ことをモットーとしています。何に対する挑戦かというと、「私たちの意識」に対してです。正論を声高々と叫んでも人々の心をつかむことはできません。ガス処分される犬たちの悲惨な映像を観て、一瞬かわいそうにと思っても次の瞬間には別のことで忙しくなる。それが現代の情報社会に生きる私たちです。それでもなお、人間の中心には愛があり、優しい心がある。それを向ける先、向ける対象を、皆どこかで探していると思うのです。

 沖縄ハッピーテイルズは、元保護犬とハッピーに暮らす人々や、ヤサグレていた元収容犬が保護犬になり新しい出会いを待っている様子などをSNSでアップしています。そこには「そうそう!こうあるべきだよね」「私も犬とこうなりたい!」と感じる幸せな現実がたくさんあるのです。これらの映像と写真が、犬と新たな里親をつなぐ最大のツールになっています。

ハッピーテイルズを卒業した保護犬と里親との家族写真
ハッピーテイルズを卒業した保護犬と里親との家族写真

 この活動をしていると、人間不信になりませんかと聞かれることがあります。私はその全く逆の体験をしています。本格的に活動を始めてたったの3年、その間に家庭犬となった約430頭の元収容犬、元保護犬たち。沖縄ハッピーテイルズの小さい小さいシェルターからこれだけの数の保護犬を家庭犬として送り出せているのは、それを受け入れてくれた全国の里親がいるからです。

 捨てる神あれば拾う神あり。日本にはまだ命を救う天使がいることを毎日実感しています。買うのではなく、助ける選択をする人々と私は毎日関わらせていただいています。

 たった1つかも知れないけれど、殺されるはずだった命を自分の手で救う。その仔と相思相愛で生きる。その仔が命を終える時は自分の腕の中で看取る。人間不信でブルブルと震えていた仔が自分を信じ頼りにし、自分が悲しい時は寄り添ってくれる。そんな特別な1対1の関わりを持った時、里親の方は自分の中から信じられないほどの愛が溢れでてくる体験をするそうです。それは私たちが里親さんから頂く言葉に現れています。「この仔と巡りあわせてくれてありがとう」。

 近い将来、収容犬のガス処分は廃止になるでしょう。処分が致し方ない場合には、苦しみの少ない注射による安楽死という方法へと転換していくことと思います。不適切な外飼い、つなぎっぱなし、畑犬(番犬として畑の杭などにつながれたままの犬)、それらも過去のものとなります。人間がつくった古い決まりを変えるのはやはり人間です。古い習慣を新しくするのもまた然り。私たち人間は生きることを怠けてはなりません。もっともっと幸せになって、自分たち以外の生き物も幸せにするぞ!という気合いで生きましょう。

 最後に里親になってくれた多くの方へ。「保護犬を家族に迎えてくれてありがとう。何があってもずっと家族」。


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