Wendy-Net トップページ > 本音のエッセイ >経営コンサルタント 青井 博幸さん

本音のエッセイ

BackNumber

今月の本音のエッセイは 経営コンサルタント 青井 博幸さん

心が経営を動かす

経営コンサルタント 青井 博幸さん

経営コンサルタント 青井 博幸

青井 博幸/経営コンサルタント

1960年生まれ。京都大学大学院工学部修士、フロリダ工科大学大学院経営学修士を取得。エンジニアリング会社勤務後、地ビール・メーカーの起業、化粧品メーカーの最高執行責任者を務めるなどし、現在はアオイ&カンパニー株式会社代表取締役。兼、グロービス経営大学院教授。

 私は経営コンサルタントをしている。社会人が通う経営大学院でも教鞭をとっており、そこでは経営における意思決定をするために必要なロジックを教えている。クライアントは上場企業が多いので、さぞや理屈に満ちたアドバイスをしていると思われがちだが、そんなことはない。顧問先の社長から「先生、本当にそれでうまくいくのでしょうか」と聞かれると「預言者じゃないからわからない」と正直に答えている。もちろん、精一杯ロジカルに考えたうえでの提言ではあるが。

 経営の結果は、人間の自由意志の営みの結果なのだ。ニュートン力学のように「現時点の初期値が決まれば未来を正確に予想できるもの」とは決定的に異なる。人々がどんな生活をしたいか、何を買いたいか…こうしたことが全て正確に予想できるようなものだったら、人生の冒険はさぞつまらないものになるだろう。そうではなくて、一人一人が「自由意志」を持っているからこそ、人生には夢も希望もあるし、成功も失敗もあるのだと思う。そして、人は、ある商品を買ったり買わなかったりするのだ。

 理屈なら「正解」と「不正解」がある。でも経営の「意思決定」の正解、不正解は判断する人によって変わる。結果の評価も自由意志なのだ。

 経営の意思決定とは、お客さまはもちろん、経営に関わる数知れぬステークホルダーの自由意志が入り組む海の中で潮目を見て、行き先を自分の自由意志で決めるようなものだ。かといって、その船には社員や多くのステークホルダーが乗っているから、自分勝手に何でもOKというわけにもいかない。

 まずは自らの自由意志を洗練させ、人々の自由意識の流れをくみ取り、それにうまく乗っかったり、違う方向に行こうとする流れに逆らうことなくうまくこちらの行きたい方向にスーッと導いたりするのが上手な経営だと思う。この感覚は、私が稽古している心身統一合氣道会の5原則
1、氣が出ている 
2、相手の心を知る 
3、相手の氣を尊ぶ 
4、相手の立場に立つ
5、率先窮行
に通じるものがある。

 そこで、7年ほど前から、経営者や幹部社員たちに心身統一合氣道を企業研修として取り入れている。この会派では「心が体を動かす」ことで「人間が本来持っている能力を最大限に発揮する」という原理を体験的に身につける指導をしている。自由意志を洗練させ、人の自由意志を理解するには、頭も大事だが心はもっと大事だ。「心が経営を動かす」を標榜する者として、ずっと心を磨いていきたいと思う。

BackNumber

(無断転載禁ず)