管理に関するFAQ

修繕工事

総会で決議された玄関扉改修工事を拒否する区分所有者がいる場合

管理組合の理事長をしています。各住戸の玄関扉の老朽化が目立ってきたことから、玄関扉にリフォームシートを貼る改修工事を総会に諮ったところ、賛成多数で決議されました。ところが、ある区分所有者が「玄関扉は現状で問題ないため、工事は必要ない。」として工事を拒否し続けています。その住戸だけ玄関扉が改修されないと、建物全体の見栄えも悪くなってしまいます。管理組合としてどのような対応を取ることができるでしょうか。

 総会は、管理組合の構成員である区分所有者の多数決で決定される区分所有者団体の最高の意思決定機関としての役割を担っています。区分所有者は、例え反対意見をもっていたとしても、総会の決議事項に従わなければなりません。
 まずは、工事を拒否している区分所有者と理事会との間で話し合いの機会を持ち、管理組合における総会の役割および今回の工事内容について理解を求めるのが良いでしょう。
 どうしても納得いただけない場合、管理組合は、工事を拒否する行為を区分所有者の共同の利益に反する行為とし、総会の決議をもって、当該区分所有者に対して工事に協力するように請求することができます。(区分所有法第57条)
 それでも、工事に協力いただけない場合、管理組合は、総会の特別決議により、専有部分の使用禁止の請求(区分所有法第58条)についての訴訟を提起することも考えられます。
 とはいえ、同じマンションの区分所有者に対して、このような法的措置に踏み込むことは、相当な時間とコストがかかる上、裁判で決着がついたとしても後味の悪いものになることも考えられますので、慎重に検討すべきでしょう。
 当該住戸の玄関扉は施工せずにいったん工事を完了させた上で理解を求めることや区分所有者の変更時に改めて交換を実施するなどの現実的な対応を取るケースもあるようです。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2016年1月掲載

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修繕積立金を専有部分の配管更新工事に使用できるか

マンションの給排水管が老朽化により、水漏れ等の不具合が続いていたため、修繕積立金を取り崩して、共用の給排水管を更新する工事を実施することになりました。工事実施に向けた説明会において、「専有部分である室内床下配管も老朽化しており一緒に更新できないか」との意見が多くあり、理事会で協議した結果、区分所有者が各々で施工するよりもコストメリットも見込まれることから、専有部分の配管更新工事も併せて実施することにしました。なお、既にこれら配管を自己負担で更新されている住戸については、復旧工事代金の減額を行う予定です。ただ、本来は共用部分の修繕等に充当するべき修繕積立金を専有部分の修繕に充当することについて、反対意見もあります。管理組合としてこのようなことを推進しても良いのでしょうか。なお、当マンションの管理規約は標準管理規約に準じています。

 マンション標準管理規約(単棟型)では、第28条(修繕積立金)に「管理組合は、各区分所有者が納入する修繕積立金を積み立てるものとし、積み立てた修繕積立金は、次の各号に掲げる特別の管理に要する経費に充当する場合に限って取り崩すことができる」と規定されています。
1、一定年数の経過ごとに計画的に行う修繕
2、不測の事故その他特別の事由により必要となる修繕
3、敷地及び共用部分等の変更
4、建物の建替え及びマンション敷地売却(以下「建替え等」という。)に係る合意形成に必要となる事項の調査
5、その他敷地及び共用部分等の管理に関し、区分所有者全体の利益のために特別に必要となる管理
 一方、第21条(敷地及び共用部分等の管理)第2項には以下のような条文とコメントがあります。
「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がこれを行うことができる」
第21条コメント
・第2項の対象となる設備としては、配管、配線等がある。
・配管の清掃等に要する費用については、第27条(管理費)第3号の「共用設備の保守維持費」として管理費を充当することが可能であるが、配管の取替え等に要する費用のうち専有部分に係るものについては、各区分所有者が実費に応じて負担すべきものである。
 第28条に規定のとおり、本来、修繕積立金は敷地及び共用部分等の特別の管理に要する場合に限って使用することが原則です。しかし、専有部分である設備であっても、配管・配線等、共用部分である本管・本線と構造上一体となった部分の管理については、管理組合の行う共用部分の管理と一体として行うことがコストメリットも含め効率的であることが見込まれるため、第21条第2項で管理組合がこれを行うことができることとしているのです。
 これらの条文により、今回の専有部分の配管更新工事を、管理組合として総会の承認を以って実施することに問題はないでしょう。ただし、ご案内の通り、既に設備更新を自己負担で実施している住戸に対する配慮が必要であることはいうまでもありません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2018年5月掲載

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