管理に関するFAQ

修繕工事

大規模修繕工事の費用負担は

マンションの大規模修繕を初めて行うことになりました。必要経費の負担割合はどのように決めるべきでしょうか。

 「屋上の防水修理は最上階の人が行う。」「エレベーターの修理は二階より上の人が行う。」「駐車場の外灯の取替やアスファルト舗装は駐車場契約者が行う。」など、受益者による共用部分修繕の考え方は(一見合理的に見えますが)、マンションの共用部分が区分所有者全員の財産であるという大前提と相反する場合があります。
 管理費や修繕費の負担方法については、一般に管理規約の中で取り決めがあります。多くの規約では、専有部分の面積に応じて負担することを定めていますが、各戸均等といった定めや、専有部分の用途によって差をつけるといった規定もみられます。
 管理規約に定めがなければ、建物修繕の費用負担割合は、区分所有法の定めにより共用部分の持分割合(規約で持分割合について特別の定めがない場合は、専有部分の登記面積の割合)となります。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1991年10月掲載

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外壁に穴を空ける工事について

管理規約で外壁が共用部分に該当し、改造は禁止されております。一部の居住者から、換気装置が不良でどうしても新たに換気用の穴を空けたいとの申し出がありました。管理組合としてはいかに対処すべきでしょうか。

 区分所有法に、「区分所有者は、建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」(第六条)とあります。
 昭和五三年二月二七日、東京高裁判決では、「外壁の開口部(直径一〇〜一五㎝の円筒形)を設置すれば壁面強度が弱くなり、ひいては建物全体の安全性を弱める恐れがある」とし、換気用の穴を空けることは共同の利益に反することとしました。
 しかし、マンション内にある換気装置が適切なものでなく、どうしても居住者のために穴を空けることが必要で、さらに穴を空けても壁面強度に影響を与えないことが調査で明確となれば、「管理組合の同意を得たうえ」で改造してもいいようです。
 「共同の利益」に反するかどうかは、改造の必要性の程度と、これによって他の区分所有者が被る不利益の程度などを比較考慮して判定されるといって差しつかえないでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1989年8月掲載

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理事長発注の修繕工事が不十分な場合は

管理組合員ですが、理事長が発注した修繕工事(工事費用八〇〇〇万円)に関し、施工業者が仕様を落として施工したり、施工が不十分な点がみられました。理事長に申し入れても十分な対応が得られません。どうしたものでしょう。

 理事長(管理組合法人では理事、法人でない管理組合では管理者のことを言います)は、委任契約として、対外的には管理組合を代表して契約などの行為を行い、対内的にはその業務を執行する地位にあり、これらの行為を行う場合、善良な管理者としての注意義務を負うことになります。通常、本問のような大きな工事を発注する場合は、理事会に諮り、その仕様を定め、事前に見積もりを依頼し、それに基づき契約代金を決定したうえで、本問の工事契約を締結することになるでしょう。また、施工業者が工事の仕様を変更する場合には、必ず事前に発注者の承認を得て、変更に伴う修正の見積書をもとに、工事代金の増減について理事長と協議することが必要であり、理事長は理事会に諮り、契約を変更し、施工が不十分であれば、理事長は当該個所の手直しを求めることになります。
 本問のように仕様を落として施工したり、施工が不十分な場合には、理事長は当該個所の契約どおりの工事の施工を求め、不十分な施工の補修を求めることになります。
 ところが、設問では、理事長が十分な対応をとらないとのことですので、理事長を解任する手続きをとることもできます。それだけでなく、理事長が善良なる管理者としての注意義務を尽くさず、管理組合に損害を与えた場合には、その損害を賠償する必要も生じます。また、理事長が施工業者に対して利益を与える意図がある場合には、他人のために事務を処理するものが、自己や第三者(本問の場合は施工業者)の利益を図り、その任務に背いた行為をなし、財産上の損害を加えたとして、刑事上の背任罪(懲役五年以下または五〇万円以下の罰金)を問われることにもなります。
 いずれにしても、理事長は管理組合の重要な職務を行う権限を有していますので、自覚と責任感をもって、その職務を遂行することが必要でしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1995年6月掲載

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火災後のマンションの復旧について

漏電による火災で、六階建てのマンションのうち、五階部分が焼失しました。誰が、その復旧をするのですか。

 火災、地震、爆発などにより、区分所有建物が滅失する時には、建物の価格の二分の一以下に相当する部分が滅失した場合と、二分の一をこえる部分が滅失した場合とに分けられます。前者を小規模滅失、後者を大規模滅失と呼びます。
 さて問いのケースですが、この場合は小規模滅失にあたり、滅失した部分を復旧することになります。復旧にあたって、専有部分は、それぞれの所有者が自己の責任において為すべきものです。その他の共用部分の復旧にあたっては、集会の普通決議での決定が必要になります。この決議により、原則として、共用部分の持分の割合に応じて費用を分担し、区分所有者全員つまり、通常は管理組合で復旧を行うことになります。この復旧の決議がなされるまでは、各自で、滅失した共用部分を復旧することができ、その復旧を行った区分所有者は、他の区分所有者に対し、復旧に要した費用を請求することも可能です。一方、大規模滅失の場合にはいかなる対応をとるかが問題です。滅失部分の復旧をする場合には、小規模滅失と同様に集会の決定が必要ですが、このときに区分所有者及び議決権の各四分の三以上の賛成が必要となります。また、復旧するよりも、建物全体の建替えをという場合には、五分の四以上の集会の決議が必要となります。また、大規模滅失の復旧となると、費用が莫大になり、その負担に耐えられない者が出てくるでしょう。そこで、決議に賛成しなかった区分所有者(反対、保留した者および欠席者またはこれらの承継人)は、決議に賛成した者に対して、自己の所有するマンション(建物およびその敷地に関する権利)を時価で買い取るよう請求することができます。また、建替えの場合は、その不参加者に対して建物およびその敷地を時価で売り渡すように請求することになります。このように、決議に賛成した者をはっきりさせる必要があるため、集会の議事録には、各区分所有者の賛否をも記載しなければなりません。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
1993年9月掲載

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泥棒に割られたガラスの修繕は

専用庭に面するサッシのガラスが割られ、泥棒が入りました。この場合のガラスの修理費用は、個人負担でしょうか?管理組合負担でしょうか?

 まず、ガラスの修理費の負担義務ですが、本来は割った人、すなわち泥棒が負担しなくてはいけません。しかし、泥棒がすぐに捕まらない可能性もありますし、捕まったとしても直ちに費用を負担できないかもしれません。
 よって、実際に修理費を負担するのは、その住戸の所有者と管理組合では、どちらが相当かということになります。
 そこで、サッシのガラスが専有部分か共用部分かということを考えないといけませんが、通常は、専有部分で利用制限をすべき場合、例えば外観の保全を考慮して、窓ガラスや窓枠、玄関扉、雨戸などは規約で共用部分としているのが一般的です。
 ちなみに標準管理規約によると、「窓枠及び窓ガラスは専有部分に含まれないものとする(共用部分である)。」と規定しており、通常共用部分と考えられます。
 しかしながら、本問の「サッシのガラス」については、共用部分とはいえ、その場所・機能から居住者が排他的、独占的に使用する権利(専用使用権)を有すべき部分ですから、通常の使用に伴うものについては、(規約に特段の定めがない限り)専用使用権を有する者がその責任と負担において管理を行うことになります。
 次に今回の泥棒にガラスを割られたという行為が、通常の使用に伴うものと考えられるかどうかですが、本件の場合、不慮の事故に該当し、通常の使用に伴うものとは考えられませんので、管理組合にて修理費を負担することが相当と考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2004年4月掲載

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