天国のおじいちゃんへ

おじいちゃんそちらでは元気にしてますか、お姉さんと話していますか
耳はよく聞こえていますか、食事の方は変わりなくよく食べているといいな。
成人してもまだ字が汚い孫が、今この四月二十六日、ここで手紙を書いています。
式では、ずっと真顔だったけど、訃報を聞いた日は一日中泣いていたよ。
その所為で、それ以降、涙の一滴も出やしなかった。
けどさ、じいちゃんいつも言ってたよな。
泣いてると過度に心配して「何泣いてんだっ」って半ば説教みたいに言って。
兄ちゃんも姉ちゃんもいたのに末っ子の私が可愛すぎたんだよな。じいちゃんにとって。
成人式の振袖、凄い綺麗やろ。美人さんやろ。写真二枚も渡したんだから、
先に行ってたおばさんとおじさんたちと一緒に、自慢話に花咲かせてね。
本当は九十まで生きてて欲しかったけど、九十年じゃたりないくらい、
じいちゃんは頑張ったんだよ。
天国でも、お茶飲んでゆっくりしてておくれ。

                           字の汚い孫(当時二十才)より

 

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