おばちゃん
ずっと、会いにいこうって思っていたんだけど、もっと長生きしてくれるって信じていたから、いつも忙しいからっていって、いろいろ先送りにしちゃっていたね。
誕生日も行けなくてごめんね。送ったプレゼントにつけた手紙も、本当は、たくさん書きたいこと、言いたいことがあって、でも、恥ずかしくって、一言しか書かなかったけど、まだ、反抗期の名残みたいのが、残ってて、どうしても素直になれなかったんだ。
ごめんね。ごめんね。ごめんね。そして、ありがとう。
最後に、眼をとじたおばあちゃんの顔をみて、もっと早く素直になれれば良かったって、すごく後悔した。お葬式の前の夜、おばあちゃんの部屋の押入れを見たよ。いっぱい、昔の写真とっておいてくれたんだね。写真に写ってた昔のおばちゃん、ちょっと太ってて、笑っちゃった。
いっぱいダッコやオンブしてくれたのを思い出したよ。襟にレ-スのついたブラウスとラベンダ-色のズボンと、白い帽子。
もう、20年前のことだから、服はタンスの中にはなくなっちゃってたけど、写真を見て、おばちゃんの服越しに感じたぬくもりを思いだしたよ。
大人になって、栃木を離れちゃって、ずっと、おばちゃんって幸せだったのかなって思ってたけど、お通夜とお葬式で、いろんな話を聞いていたら、たくさんの人に、愛されてたんだってわかったよ。みんな、おばちゃんのこと大好きっていうし。おばちゃんの知らない一面もわかって、ちょっと嫉妬もしちゃった。いっぱい人を愛して、いっぱい人に愛された人生だったんだね。最後に、いちばん大切なことを教えてくれて、ありがとう。
これから、一生懸命に、いっぱい人を愛して生きていくよ。いっぱい、いっぱい、たくさんの人を愛して生きていくよ。
たくさんの人を愛して、自分に素直に生きていくよ、おばちゃんみたいに生きていくよ。