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全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス代表/菅原 由美さん

菅原 由美さん
潜在ナースの底力が地域を救う!
Profile

菅原 由美さん/キャンナス代表

1976年東海大学医療技術短大看護学科卒。2014年国際医療福祉大学大学院博士課程満期終了。東海大学病院ICUに勤務後、企業や保健所・非常勤勤務の傍ら3人の子育て。96年キャンナスを設立。2008年開業看護師を育てる会を設立。11年東日本大震災、14年広島土砂災害、16年熊本地震に災害ボランティアナースを派遣、支援活動に当たる。14年ヘルシー・ソサエティ賞受賞。
https://nurse.jp


結婚式の同行(キャンナス高岡野村)
結婚式の同行(キャンナス高岡野村)
利用者の北海道移送(キャンナス湘南)
利用者の北海道移送(キャンナス湘南)

 1996年、私は「全国訪問ボランティアナースの会 キャンナス」を立ち上げました。専門職の私がボランティア団体を立ち上げるということが、当時はとても珍しかったようです。各方面から、医師の指示なく家庭を訪問し顔を拭いたりするのは違法行為だ、免許を取り上げられる、看護の価格破壊だと言われたりしました。しかし、発会して20年、現在は、各地で自己決定し、自己責任を取る、腹をくくったナースたちが全国に110カ所になり、活動の輪は確実に広がっています。

 私は1989年に100歳になる義祖母を看取り、その後、一緒に介護していた義母を大腸がんで看取りました。そして認知症の義父と実父を看取るという経験をしています。実父は訳あって最後の1年は施設で過ごし、そこで息を引き取りましたが、他は在宅で看取りました。そのような経験から「潜在ナース」の掘り起こしをし、介護で疲れている人に休める時間を提供したいと考えました。息抜きの時間の必要性を非常に感じたからです。そしてもう1つ。当時、がんの義母を家で看取れたのは、家族にナースである私がいたからです。その経験を踏まえて、がん末期の方が自宅へ帰ってくるお手伝いをさせていただけたらと考えました。家族の手がわりとして、私たちナース(Nurse)ができる(Can)ことをできる範囲でするというのがキャンナス(Can+Nurse)の思いです。活動は食事や入浴介助などの介護から一時外泊や旅行の付き添い、結婚式などの同行も行います。介護保険制度下では対応しきれない滞在型訪問介護のスタイルを貫き、地域に根付いたボランティア団体として全国各地で活動しています。

東日本大震災。宮城県・気仙沼で受診支援
東日本大震災。宮城県・気仙沼で受診支援
東日本大震災。宮城県・石巻湊中学にてトイレ作り
東日本大震災。宮城県・石巻湊中学にてトイレ作り

 発会して20年。志を同じくするナースが増えていくことは本当にうれしいことです。20年間いろいろなことがありました。

 特に東日本大震災のときには、各地で仲間が立ち上がってくれ、大きな力となりました。

 資金力のないキャンナスは、避難場所となっている体育館や公民館、学校などで、被災者の方々と一緒に寝泊まりをさせてもらいながら、その中で気付いたこと、トイレ作りだったり、血圧測定だったりとできることをしていただけなのです。しかし、その活動がマスコミの方々から「トイレの神様」と言われたり、「被災地のナイチンゲール」と言われたり、過分なお言葉をいただきました。

 自己決定ができる、自己責任が取れる、自立・自律したナースたちの人々の生活に寄り添うことを大切にしてきた日常の活動が、ここで力を発揮したのでした。

 今もまだ石巻での支援は続いています。そして3・11の経験を生かし、広島土砂災害や熊本地震での復興支援活動につながることができたのも、自立したナースたちの底力だと思っています。

 地域包括ケアがいわれる今、私は介護を必要とする人々が在宅で過ごすためには、1小学校区に1人のキャンナスがほしいと考えています。子育て中で仕事をしていないナース、定年になったけれどもう少し何かしてみたいと思うナースの方をご存じでしたら、ぜひキャンナスのことを伝えてみてください。地域の方と力を合わせ、全国のキャンナスの仲間と力を合わせることで、きっと可能性が広がります。

 助けたり助けられたり、お互いさまという思いを大切に、これからも活動していきたいと思います。


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