人形作家 太田 庸子さん
キャリアを磨きたい、一生の仕事を見つけたい、そんなアクティブな女性へパワーを与えられたら
何かを目指してひたむきに頑張ったり、自分の仕事に情熱を注いで生きる、輝いてる女性に注目しました。


太田 庸子/人形作家
人形作家、藤井路以・水澄美恵子に師事。1997年、群炎展初出品、奨励賞・会員推挙。2000年、初個展・楽風ギャラリー(さいたま市)。2002年、ドールアート展公募部門・入賞、グループ展。2004年、ドールファンタジア公募展・優秀大賞、二人展。2005年、ドールフェスタ・イン・ギンザに参加。2006年、群炎展にて群炎大賞受賞。現在、群炎美術協会会員、創作人形教室主宰、ヨークカルチャー久喜講師。
e-mail houyou.ota@nifty.ne.jp
http://homepage3.nifty.com/otans/




 私はもともと絵画や立体が好きで、美術系の学校で彫塑を専攻し、卒業後はマネキン会社で顔を描く仕事をしていました。
 あるとき、資料として開いた分厚いアンティークドールの本に19世紀の中国とドイツの人形写真が1枚ずつあり、地味ながら人間に近い存在感を持つそれらの人形の姿に強く惹かれました。そして私にとってそれは、人形でこういう表現もできるのだ、という発見でもありました。
 これがきっかけとなり、後に人形の師について制作を始めました。本格的に人形の勉強を始めると、ジュモーやブリュといったフランスのアンティークドールの素晴らしさも再認識しました。さらに江戸期からの衣装人形、雛人形、市松人形の素晴らしさ、そして現代の創作人形の多種多様さを知り、人形の世界の奥深さに引き込まれるようでした。また、人形の制作過程も、私にとって大変興味深いものでした。
おさななじみ


 制作は、まず作りたいと思う人形の実物大のデッサンをします。正面と横向きを描き、顔はラフスケッチ程度です。
 次にデッサンを基に発泡スチロールやスタイルフォームで芯となる部分を削り出し、その上に石塑粘土をつけて形作っていきます。石塑粘土は石粉を主原料とした粘土で、見た目も使い勝手も紙粘土によく似ています。
 粘土が乾いた後は彫刻刀などを使って細かい部分まで彫り込んでいき、やすりで表面をきれいに仕上げます。その後、色を加えた胡粉を何度も塗り重ねていき、そしてメイク、髪の毛貼り、服や靴作りとなります。
 作品によっては、胡粉を塗る代わりに粘土の表面に和紙を貼ったり、布を貼ったりすることもありますし、堅牢にしたいときは石塑粘土ではなくイージースリップという液状粘土を使うこともあります。
アライグマベビー 日だまり
 どのような作り方にしても1体を作り上げるには1〜2ヶ月はかかってしまいます。
 作業の中で、私は、粘土の粗付けや彫刻刀で彫っていく段階が好きです。その過程では、ちょっとした加減で顔の雰囲気や表情が思いのほか変わっていきます。
 形が完成に近付いたところで、表面に歪みがないか、左右のバランスがとれているかを確かめつつ最終的な修正をしていきます。この作業が意外に長くかかり、また集中力も要します。
 メイクも集中力を必要とする作業ですが、最終的な修正にかかる時間と比べれば、あっけないほど短時間で終わってしまいます。
 以上が私の制作方法ですが、ほかにも木彫りの人形、ビスクドール、布と綿・木毛で作り上げる人形、樹脂やプラスチックの人形などがあり、作家さんの個性も相まってさまざまな姿の人形がこの世に誕生していくわけです。


おめかし 初夏の少女
 現在私が作品を発表する場としては、会員になっている美術団体の公募展とその支部展があり、毎回1〜2点を出品しています。そのほかには個展・グループ展、人形店の催事などに出品したりします。
 それらの展示予定や出品した作品についてはホームページで随時紹介するようにしています。
 また昨年から人形教室を主宰し、指導にも力を入れ始めました。生徒さんは初心者の方が多いので、まずは兎のお雛様などを作っていただき、徐々にレベルアップしていくようにしています。元来お人形好きな方が集まって来られるので、ともに人形を愛でる楽しさを語り、ともに人形を作り上げることの喜びを味わっています。
 このように、人形の世界と巡り合え、人形と関わることで、今、私の生活は豊かに色付いているのです。

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