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人形服作家/雨森 ひろこさん

雨森 ひろこさん
「箱庭のリアルファンタジー」
Profile

雨森 ひろこさん/人形服作家
2004年より1/6サイズの人形服ブランド「こぐま座」を始める。2008年“人形服=人間服”をコンセプトにKOGUMAZA collection(人形服の試着・受注会)を国内外に向けて開始。合同人形展等の展示会に参加。主な作品掲載誌『DollyBird vol.12、14』(ホビージャパン)など。
http://kogumaza.net



momoko DOLL(身長27cm)
momoko DOLL(身長27cm)
momoko ©PetWORKs Co.,Ltd. Produced by Sekiguchi Co.,Ltd. www.momokodoll.com

「へぇ~。それは珍しい趣味をお持ちで!」

 人形服作家と聞いて、多くの方はそう思われるでしょう。

 私は、この仕事を趣味ではなく、「プロフェッショナルな芸術・創作活動として成り立たせたい」と強く願い、活動してきました。

 きっかけは7年前。私はBlythe(ブライス)というちょっと変わった人形を購入していて、そのころちょうど、妊娠で自宅にいた姉の退屈しのぎにと思い、私はその人形の服を縫ってみることにしました。

 大学卒業後に洋裁学校に通っていたほど、服を作ることは好きでしたので、1/6サイズ(全長約22〜28センチ)の人形の服を作る作業は、思いのほかおもしろく、熱中しました。

 その後、手作りした人形の服を売買する即売会の存在を知り、ディーラーとして参加し始めるようになりました。お客さまは、人形をお持ちの方々です。そして、メーカーや雑誌から仕事の依頼をいただくようになりました。

HARAJUKU DOLLS EXHIBITION(人形展)
HARAJUKU DOLLS EXHIBITION(人形展)
Blythe doll(全長約28cm)
Blythe doll(全長約28cm)
©BLYTHE is a trademark of Hasbro.©2011 Hasbro. All Rig hts Reserved. BLYTHE character rights are licensed in Asia to Cross World Connections, Ltd.
Licensed by Hasbro. www.blythedoll.com (pc site) blythemo bile.com (mobilesite)

 ところで、人形服作家とは何でしょう?その名のとおり、人形の服を作る人です。

 人形には、さまざまなサイズが存在します。私は、主に1/6サイズの人形に立体裁断で型紙を起こし、デザインをし、縫製をしています。

 ここからは、あくまでも私の場合に限ってですが、「なぜ人形の服をあえて作っているのか」「何が魅力なのか」ということを、これまでの創作歴をさかのぼりながら、お話しします。

 服を作り始めて、「まあ人形の服ならこれくらいで十分かな」という完成度に達したころ、もっと人間の服に近づけたいと思うようになりました。人間の服に使う高品質な布地を使い、ボタンホールを手でかがり、3ミリのボタンを留められるようにしたり、袖口のカフスを人間の服と同じように作ってみたりしました。

 完成した、手のひらに収まる小さな服は、限りなくリアルでありながらも、実は人形の服というファンタジーが同時に感じられるという不思議な感動を与えてくれました。私は、このころから「プロフェッショナルな芸術・創作活動として成り立たせたい」という意識を持つように変わっていきました。

 さらに、即売会では一般的にビニール袋に包まれた状態で売られますが、私は「服なのになぜ試着できないのか?触れないのか?」と違和感を覚え始めました。

服は、試着して、あれこれと迷ったり、コーディネイトするのも楽しみであり、その目に見えない価値が大事です。

私は、服の完成度だけでなく、発表・販売方法も人間の服に近づけたいと思うようになり、2008年に東京の原宿と名古屋で試着・受注会を個人で行いました。

お客さまを招待し、ハンガーラックに並べた作品を、持参してもらった人形に試着してオーダーしていただくという初めての試みは、多くの人に喜ばれました。自分が感じ、やりたいと強く願ったことを、ゼロから実行し、受け入れてもらえた感動は、今でも作家活動の大きな励みとなっています。

そして同年、インターネットを通じて、海外のお客さまにも作品を購入していただけるようにしました。寝る食べる以外のほとんどの時間を、ひたすら創作に捧げる至福な毎日でした。

3mmボタンとボタンホール
3mmボタンとボタンホール
KOGUMAZA collection (人形服の試着・受注会)
KOGUMAZA collection (人形服の試着・受注会)

 翌年、ラフォーレミュージアム原宿で開催された合同人形展からオファーをいただきました。背景セットなどの制作を友人に依頼して、精巧な1/6世界の創作に全力を注いだ作品は、一般のお客さまや、周囲の人々、一般の服飾関係の方からなど広く評価していただきました。

 ここまで来て、ようやく、人形服作家として、芸術・創作活動として、自信を持って自分の活動を受け入れることができました。

 現在、1児の母となり、仕事を続ける意味をさらに深く考えるようになりました。人形の服をなぜ作り続けるのか?それは生き様を見せるということです。私は、わが子に何かを過度に与えるのではなく「無限に広がる世界を、君の目でよく見て感じ、何をやりたいのか考えてごらん。そして、それを実現するために行動してみなさい。前例がなくて怖くても、間違って失敗しても、かまわないのだよ」と伝えたいのです。それには、まず私自身がそうでなければなりません。

 小さな箱庭のリアルファンタジーは、私の生き様を表現し伝えてくれる、かけがえのない世界なのです。



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