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千里ニュータウンの住宅団地
千里ニュータウン内につくられた公団住宅。現在は居住人口の高齢化が進み、また狭小な居室は増築され改善されている。 |
■これで良いのか?いまの暮らし
人口の都市集中、都市の人口増加を追いかけるように日本ではこれまで都市とその周辺の宅地化、住宅開発が進められてきた。その結果、都市に居住する人口割合が一貫して増加してきている。これは、同時に都市居住に必要な住宅資産がそれに応じて建設されてきたことを意味している。また、これからも都市に居住する人口割合が高いままで持続することが想定される。なぜなら、農村がこれから人々を惹きつける雇用の場を生みだすことができるとは到底考えられないからである。
しかし、現在の都市の居住環境が持続可能であるとはいえない。環境の側面から見ると、都市は生命にとって生存の基盤であるエコロジーを徹底的に壊し、その代わりに人工的なインフラストラクチャを整備してきた。都市に降る、また流れる水は水害をもたらす水として排除し、汚いもので汚すにまかせた。逆に遠くから上水を引き込んで利用し、地域の水循環によって媒介されてきたエコロジーを捨ててしまった。人間以外の生命は生活する場を奪われた。道路は舗装され、わずかに残された植物の死骸を分解する土壌生物はいなくなり、水面が埋め立てられ、水路もコンクリートで覆われ、捕食、排泄、分解、吸収という生物による物質循環が壊され、都市のあらゆる活動から出されたものがすべて廃棄物になってしまった。このような都市環境で人間だけが生き延びるために清浄な水、食料、そのほかの必要な物質を都市に供給し、廃棄物、下水を除去し、処理するために莫大なエネルギーを使っている。
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| 小舟木エコ村の位置 |
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小舟木エコ村鳥瞰図
小舟木エコ村事業は滋賀県近江八幡市に位置する、事業規模は面積約15ha、開発戸数371戸であり、事業主体はこのために設立された(株)地球の芽であり、NPOエコ村ネットワーキングと協力してエコ村づくりを進めている。 |
社会的な側面から見ると、都市の人口集中を受け入れるために急いで開発された住宅地には多世代が居住できる条件に欠けている。都市住宅では親と子の世帯が暮らせても、子が成長し結婚するようになると同居できず、子の世代は生まれ育った住宅から出て、新たな住宅を求めて町を出て行くことが多い。その結果、同じ世代だけが暮らす町になってしまい、生存にとって必要な世代間の支えあいができず、公的な保育、育児、介護サービスによって暮らしを支えることが不可欠になってくる。また、核家族の生活者は育児や介護に関する知識を共有できる機会が少なくなり、精神的なストレスが強くなってしまう。大きな家族で、地域で生活上の悩みや喜びを共有できない社会にしているのが、現在の都市生活であり、この状態をそのままにしていることによる社会的損失は大きい。
■否が応でも続くトレンド
日本はいま人口減少社会に向かっている。1億2700万人の人口(2005年)が50年後の2055年には国立社会保障・人口問題研究所の中位の推計で8900万人ほどになると見込まれている。また、人口減少の過程で人口の高齢化が急速に進むことになる。生産年齢人口が多く人口が増加していた社会から、生産年齢が少なく人口の減少する社会へ転換することになる。膨張する社会から縮減する社会へ転換しなければならない。都市の環境整備はインフラ整備の面的拡大ではなく、社会的な負担の少ない既存インフラの選択的な維持と整備に転換することが求められている。
もうひとつの長期的傾向は化石燃料の価格上昇と生産量の減少から枯渇である。現在の都市生活は安価なエネルギー供給を前提にしている。しかしこれから石油をはじめとする石炭、天然ガスなどの化石燃料は生産量が減少し、今世紀中には石油と天然ガスが枯渇すると推定されている。そのような中で価格上昇は避けられないし、すでに価格上昇が始まっている。都市とインフラストラクチャを化石燃料に依存しない体質に転換することが求められている。
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小舟木エコ村の暮らし
小舟木エコ村では人と人の付き合いが暮らしを支える要素となっている。 |
■フローのストック化
私たちの生活は資産(ストック)と収入に支えられた支出(フロー)によって営まれている。住宅やインフラストラクチャは暮らしを支えるストックであり、購入する食料品や衣料品などはフローである。ストックとフローの両方が私たちの生活を支えているのであるが、両者の間には代替関係が存在する。ストックが小さくなればフローは今まで以上に必要となり、逆は逆である。たとえば、地域の人間関係が希薄で近所付き合いがないとすれば、地域の安全を守るために、子どもの登下校時に送り迎えのサービスを父兄が交替ですることが必要になってきたりする。これは地域の信頼できる人間関係が存在しないという社会関係資本(ストック)が弱いことにより、送り迎えのサービス(フロー)が必要になることを示している。あるいは、都市の地表面を舗装や建物でカバーしてしまうことによって、土壌や樹木などの緑を地表面から排除してしまうと、すなわち地域の自然資本(ストック)を壊してしまうと、水を吸収したり蒸発散させたりする地表の熱環境を快適に保つ機能が損なわれてしまい、人為的に室内環境を調整するためのエネルギー消費(フロー)が必要となる。
とくに、社会関係資本と自然資本を適切に維持することは、経済的な負担を招かず、自然への負荷を高めず、生活の質を向上させる方法である。フローに頼ることなく、負担の発生しないストックにより依存する方向への転換が求められている方向である。これからますます進んでいくことが想定される人口減少社会、高齢化社会では経済的な負担をかけないで生活質を向上させる社会発展の方向が求められている。また、地球環境と地域環境への負荷をこれ以上大きくすることが許されないがゆえに、自然資本を壊さず生活質を高める方向も求められている。
さらに、経済的、物質的フローの地域化がもうひとつの重要な課題である。これは言い換えれば地産地消を進めることである。地域で生産されたものを地域で消費することは、地域の経済を活性化するし、より信頼できるモノやサービスを消費することにつながるし、環境に対する負荷も小さくなる。遠距離の大量に安価に同じものを生産する産地からモノを輸入することによって、安価にモノを手に入れることができると考えてしまうが、それは物質のバランスを壊してしまい、生命圏の持続性をそこなうことになり、また長距離輸送による石油消費量を増やし、地球環境に余計な負荷を与えてしまう。それだけでなく、消費地の自給能力を奪い、安全性を犠牲にすることになる。
社会を経済的、社会的そして環境的に持続可能なものにするために、生活を支える経済的なフローの役割を小さくし、社会関係資本と自然資本をそれにとって替わらせること、そして経済的なフローをできるだけ地域の中で循環するフローに変えていくことが重要となっている。
■小舟木エコ村での取り組み
このような変化をどのように実現していくか、このひとつの実現方策がエコ村である。エコ村のエコはもちろんエコロジーである。エコロジーとは生命とそれを取り巻く環境との相互関係を表す言葉であるが、エコ村とはまさに人と人、人と環境との結びつきを大事にする暮らしを築いていくことを意味している。持続可能な社会は特定の人の生活のために他の人を犠牲にするあるいは環境を犠牲にすることによっては築けない。なぜなら、人の生活も環境もひとつの有限な共有する地球の上で成り立っているからである。したがって、まず直接触れ合え、感じ合える村の範囲で人と人、人と環境の結びつきを大事にする、言い換えれば、社会関係資本と自然資本を大事にする暮らしぶりを築けなければ、地球の持続可能性はありえないのである。エコ村づくりの運動はその意味で、持続可能な社会への入り口をつくる試みである。
2000年にエコ村づくりを具体化するためにNPOエコ村ネットワーキングを設立し、2002年に小舟木エコ村づくりを宣言し、2003年に内閣官房都市再生本部から「環境共生まちづくり事業」に選定され、ようやく2006年末に小舟木エコ村建設着工の事業認可がなされ、2007年から事業会社(株)地球の芽による造成工事がはじまり、2008年春から村づくりが本格化する段階になった。小舟木エコ村では、地域の水循環を回復する課題、賢明なエネルギー利用を実現する課題、地域の物質循環を創出する課題、社会の健全性を取り戻す課題をエコ村づくりの目標にかかげ、エコ村住民、関心のある市民、NPO、行政、関連する企業・事業者と協働して取り組んでいこうとしている。
小舟木エコ村づくりは開発手法としては現在の法の枠内で進めているため、農地転用申請、大規模開発認可申請、地区計画の策定という手続きを経ているので、その手続きで許される範囲を超えるものとはなっていないが、問題は行政手続きで規定できない、人と人、人と環境の結びつきを具体化する仕組みをいかに創出するかである。その意味で、小舟木エコ村づくりはようやくスタート地点に立った。何ができ何ができないか、格闘がはじまる。
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水循環 |
エネルギー利用 |
物質循環 |
社会の健全性 |
コミュニティの行動 |
ビオトープづくり |
ランドスケープによる微機構管理 |
環境効率の高い生活 |
参加型のコミュニティ開発 |
雨水と雑排水
の浄化と利用 |
バイオマス利用 |
地域の農産物と
有機廃棄物の循環 |
個性に適合する能力開発 |
糞尿の肥料化 |
歩けるまちづくり |
コミュニティ農業 |
環境倫理教育 |
ビジネスの取組 |
エコ住宅づくり |
個性に適合する能力開発 |
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電気自動車 |
地域農工複合システム |
コミュニティ・ビジネスの支援 |
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持続可能なエネルギー利用 |
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日常的健康管理 |
未来への取組 |
持続可能な社旗に向けての研究 |
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環境ビジネス開発のためのコンソーシアム |
環境のモニタリングと評価 |
| 小舟木エコ村で取り組む課題 |
エコ村ネットワーキング http://www.eco-mura.net/
地球の芽 http://www.chikyunome.co.jp/
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