成人女性の10人に1人はあるといわれている子宮内膜症。
現代女性の中でこの病に苦しんでいる人が増えています。
子宮内膜症について良く知ることで症状が悪化する前に治療することが出来ます。

女性として快適に過ごすためにぜひ一読してみて下さい。




正常であれば子宮の内側だけにあるはずの子宮内膜が、子宮の外(卵巣や卵管、または腹腔内、直腸の表面など)にも発生して、増殖する病気です。女性ホルモンの影響を受け月経周期に合わせて増殖や剥離を繰り返し、病状が進むと激しい月経痛がおこります。月経のたびにこれらの場所にも月経と同様の変化が起こるため、お腹の中に慢性の炎症や出血が起きます。よくあるのは、内膜症細胞が卵巣内で増殖して卵巣がはれ上がるチョコレート嚢腫や、内膜症細胞がお腹の中の臓器の表面で増殖し、子宮と腸や卵巣が癒着して痛みを引き起こす腹膜病変。成人女性の10人に1人にあるといわれています。
また、子宮内膜症は不妊症の原因にもなりうると指摘されています。
最近、子宮内膜症が増えてきたと言われています。その理由として、患者さん自身の関心が高まったことや診断技術の進歩により、受診率や発見される件数が増えているためともいわれていますが、晩婚化・少子化・初経年齢の若年化などにより一人の女性の経験する月経回数が増加していることも一因になっていると考えられています。

◇子宮内膜症の出来やすい場所◇
子宮内膜症が最も多く見られるのは骨盤の中に納まっている臓器で、特に子宮しょう膜面卵巣仙骨子宮靱帯ダグラス窩(子宮後部のくぼみ)、子宮の筋肉の間(腺筋症とよばれる)などに多く発生します。
そのような場所では通常の月経のように月経血が排出されないでその場にとどまっています。その状態が長く続くと周辺の組織との癒着(炎症などが長期間続いたままだと普通はくっついていない部位がくっついてしまう)を起こします。

卵巣の内側、表面
卵巣内にどろどろの血液が溜まることがある(チョコレート嚢胞)


子宮体部の内側を覆う子宮内膜がどうして体内のほかの場所で増殖してしまうのかーその発生原因についてはいまだ明らかになっていません。月経の時、内膜が剥がれて子宮から膣へ出ていきます。これが月経ですが、その時子宮内膜の一部が子宮から逆流して卵管を通り腹腔内にばらまかれ、そこで増殖するという説が有力な説のひとつです。


1.月経痛(月経困難症)
子宮内膜症による月経痛(生理痛)の特徴は
・かなり激しい生理痛
・鎮痛剤が必要なほど痛みがつよい、または市販の鎮痛剤でも痛みが十分取れない
・それまで生理痛は軽かったが、月経の前から月経終了後もしばらく痛みが続く
・年齢とともに痛みがひどくなる
・腹痛だけでなく、肛門や膣の奥の方も痛い。
・腹痛だけでなく、悪心や嘔吐を伴うことがある

2.生理痛以外にも時々下腹痛、腹痛、排便痛がある。
特に排卵期(生理と生理の中間の頃)や生理前にも骨盤痛(下腹部や腰の痛み)がある。
子宮内膜症を有する女性の約70%が下腹痛を自覚し、約50%が腰痛を自覚しています。

3.性交痛
子宮内膜症がダクラス窩にあるとしばしばセックスの時、膣の奥が痛むこと(性交痛)があります。

4.月経時に下痢をしやすい。

5.月経の血液量が多い(過多月経)
月経の血液にレバーのような凝血がまじるようだと過多月経と考えられますが、子宮内膜症にはしばしば過多月経を伴います。

6.不妊症
子宮内膜症があると全ての人が不妊症になるわけではありませんが、逆に不妊症の20%位が子宮内膜症が原因といわれています。自覚症状がなくても、不妊症のかたに詳しい検査を行うと子宮内膜症が見つかることがよくあります。

以上のように子宮内膜症にはいろいろな症状を伴いますが症状の全てがでるわけではなく、そのいくつかが組み合わさっていることが多いです。特にその中で症状項目1.2.3.5は重要な症状です。あてはまる症状がいくつか自覚できるようであれば一度受診してみることをおすすめします。


大きく分けて薬で治療する方法と手術をする方法の2種類があります。

・薬物療法
対症療法・・・鎮痛薬で痛みを緩和する。生理痛が強く日常生活に支障をきたす場合に用いられます。
ホルモン療法・・・女性ホルモンの分泌を抑え、病巣を小さくし妊娠率を上げる。
※薬物療法後に妊娠して赤ちゃんに異常の出るようなことはありません。

手術療法
薬では治療困難な内膜症の場合に効果的
保存的手術・・・不妊症の治療目的に、あるいは病気の進んでいる場合、腹腔鏡で癒着をはがしたり病巣をレーザーメスや電気メスで焼き切る。 きれいに病巣をとっても、しばらくすると再発することがよくあります。
根治手術・・・子宮・卵巣を含めて病巣を取り出す

このように子宮内膜症の治療は鎮痛剤から手術までいろいろな方法があります。治療を必要とするその人が何を望んでいるか(痛みをとりたいだけなのか、妊娠を希望しているのか)、また内膜症の重症度はどうか、あるいは症状の種類などのいろいろな要素を考慮して、治療法を決定します。どの治療法を選択するかお医者さんとしっかり相談しなければなりません。手術をすすめられたらお医者さんに積極的に質問して、「なぜ手術が必要なのか、どんな手術をするのか、手術後はどうなるのか」など、よく理解して、納得して受けるようにすることも大切です。



子宮内膜症かどうかを確定する診断には、厳密には腹腔鏡により骨盤内を直接観察することが必要です。しかし、腹腔鏡検査は手術操作によるものであり、子宮内膜症が疑われる患者さんすべてに実施するのは不可能です。
したがって、一般的には問診(子宮内膜症の手がかりをつかむ)そして内診(膣から触診し子宮の大きさや状態を把握する)、直腸診(直腸から触診して子宮後部の病巣や卵巣の腫れを確認する)および超音波検査(画像で病巣を確認する)などの所見から診断していきます。内診では異常のない方もたくさんいます。症状から子宮内膜症が疑われる時には、血液検査をしてCA125という物質の値が高くなっていないかをみたり、CTやMRI検査をして詳しく確認していきます。



子宮内膜症は非常に再発しやすい病気です。
ホルモン療法をした患者さんも、治療後 は2〜3ヶ月に1回は受診して経過を観察する必要があります。再発したらまた治療が始まるわけですが、子宮内膜症の治療には長い時間がかかる場合が少なくありません。患者さん自身が治療に前向きになることと、治療にあたっていただいているお医者さんと何でも話し合えるような信頼関係が大切です。
病気のことばかり深く考え込んでしまわず、前向きに生活を送りましょう。
予防に確実な方法はまだ分かっていませんが、適度な運動は子宮内膜症の発症を予防するのに効果があるとも言われています。



子宮内膜症は痛みだけでなく、不妊症との関連が注目されています。不妊原因の精査目的で腹腔鏡検査をおこなうと、約半数に子宮内膜症が認められます。子宮内膜症が確認された場合には子宮内膜症病変を焼灼し除去しますが、その結果、術後1年間に約40%の患者さんに妊娠が成立します。このことから、子宮内膜症と不妊症の関連が強く浮かびあがってきます。
女性ならではの辛い病気である子宮内膜症。
女性として健やかに過ごすために、悩んでいる人がいたら早めに病院で相談してみて下さい。


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