連載コーナー
本音のエッセイ

2026年3月掲載

ゴミ出しはオレがやってる!?

黒川 伊保子さん/人工知能研究者・随筆家

黒川 伊保子さん/人工知能研究者・随筆家
株式会社感性リサーチ代表取締役。奈良女子大学理学部物理学科卒。AIエンジニアを経て脳のシステム分析の専門家に。脳の機能性の見地から、コミュニケーションやマーケティングに"目からうろこ"をもたらしている。著書は『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』他多数。
 

主婦の本音というか、家事の本当のところを言うね。

 

家事はすべて三段論法でできている。気づかう、ちょこっとやる、本格的にやる、の三段"攻め"。なのに、たいていの「お手伝いする家族」は、最終工程しかないと思っている。

 

たとえばゴミ出しは、(1)自治体のゴミ分別方法を理解する、(2)それに合わせてゴミ箱の数と配置をデザインして手配し設置する、(3)それぞれに合う袋を切らさず用意し続ける、(4)ゴミが出るごとに、分解し分別して捨てる(ペットボトルなら、ラベルとキャップはプラ、本体はペットに分けて、しかも洗って乾かしてから捨てる)、(5)分別ごとの収集曜日を把握して、その朝ゴミをまとめて括(くく)る、(6)ゴミ袋に破れや汚れがないかをチェックして対応、(7)ゴミ袋を出す、(8)ゴミ箱本体の汚れをチェックして対応、(9)ゴミ袋をセットする、の9工程でできている。(7)以降が最終工程だ。

 

主婦は、これを難なくこなす。やっているのは(7)だけなのに「ゴミ出しは、俺が全部やってる」と豪語する夫をなじりもせず。でもね、(3)(4)あたりを蔑(ないがし)ろにされるとキレるよ。だって、脳のシンキング・ストレスが最も高い部分だから。頼んだゴミ袋を買い忘れる、分別をいい加減にして、何でも生ごみに捨てる…なんてことはありえないわけ。

 

家事ストレスの99%は、「気づかう」「ちょこっとする」に集約している。なにせ、脳神経信号をハンパなく使うから。共働きや定年夫婦で家事を分け合うなら、この前段工程から分け合わないとね。専業主婦のおうちでも、「気づいていない2工程」を家族に理解させる必要がある。そうでないと、家事労働をなめくさるから。

 

家事を分け合うコツとして、私はリーダー制をお勧めしている。そのカテゴリーに関して、全行程を管理して、最終責任を負う方式だ。

 

たとえば「炊飯リーダー」になったら、毎晩ちゃんと米を研いで炊飯器を仕掛ける責任がある。ただの「炊飯手伝い」だと、酔っぱらってすっかり忘れたあげく、翌朝愕然(がくぜん)とする妻に「夕べは遅くなったからしかたないだろう」なんて言い訳をする。でもリーダーなら、事前に「ごめん、2次会に行くことになった。お米研いどいてくれる?」と連絡するはず。主婦は、たまにやれないことをなじりはしない。「しかたない」に絶望してしまうのである。なぜなら、それ以降毎晩「炊飯器が仕掛けられたかどうか」を気にしなくてはならず、なんなら一旦床に就いたのに起き出すことにもなりかねない。シンキング・ストレスが解消されないなら、手伝ってもらえないのと変わらないのである。

 

気づかう工程(見えない家事)のシェア。家事を分け合う時代、誰もがそこを理解しないとね。家庭科で教えるべきは、そこですよ。

(無断転載禁ず)

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