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団地再生 -団地再生を考える-

団地再生シリーズ167弾

ドイツ西部をあそぶ
あそびに垣間みるドイツ事情

原 大祐さん

NPO法人西湘をあそぶ会代表理事
原 大祐さん

1978年生まれ。青山学院大学経済学経済学科卒。2006年Co.Lab設立、08年西湘をあそぶ会を設立。大磯在住。「大磯で別荘生活のように暮らす」をテーマに、1次産業を中心に再生事業を行っている。


 今回のコラムは、2016年5月下旬〜6月上旬に行われた「サステナブル社会のまちづくり ドイツ視察ツアー」のレポートになります。

 今回のツアーではフランクフルト、ケルン、デュッセルドルフ、アーヘンなどのドイツ西部の都市と旧東ドイツ内に位置するライネフェルデに行き、ドイツの総合的そして地域一体的な再生への取り組みを視察してきました。大変感心させられましたが、ドイツならではの社会背景を知っていないと正しく理解できないことも多くありました。繰り返し説明される中で3つのポイントがあるように感じました。難しい専門的なお話は他の方にお譲りして、道中でも3つのポイントにふれる機会がありましたので、つたない旅行記を通してご紹介できたらと思います。

サッカーチームに見る東西問題

チャンピオンズリーグ決勝戦を固唾を呑んで見守る若者たち
チャンピオンズリーグ決勝戦を固唾を呑んで見守る若者たち

 フランクフルトに着いた夜は、チャンピオンズリーグというヨーロッパのクラブナンバー1を決める大会の決勝戦が行われていました。決勝戦はスペインのチーム同士ではあったものの、飲食店はビールを手にした多くの若者であふれており、街中大変な盛り上がりです。国内のドイツブンデスリーガはヨーロッパ4大リーグと呼ばれるほど、人気・実力ともにトップレベル。ドイツはサッカー大国ですね。サッカー文化の浸透の違いを実感させられたような気がしました。

 ブンデスリーガでは多くの日本人選手が活躍しているので、チーム名もいくつかは聞いたことがある方も多いのではないかと思います。このブンデスリーガ1部のクラブチームをじっと見ていると、あることが分かります。それは旧東ドイツを本拠地とするクラブチームが圧倒的に少ないということです。90年の再統合を機に東側のチームが西側のリーグに参戦する形で合併しますが、東側のクラブは西側のクラブと比べて資金力、運営力、戦力などが大きく劣っており、結果的に東側のクラブは次々と下位に沈み、低迷していきました。再統合から25年以上たった現在でも、この西高東低の経済格差は依然として見られ、そのため東側にはブンデスリーガ1部に所属するチームが少ないのです。

グローバル化の波とドイツの不動産事情

アーヘン市庁舎前の広場 ドイツでは違和感を感じる高層ビル。フランクフルト
アーヘン市庁舎前の広場 ドイツでは違和感を感じる高層ビル。フランクフルト
世界遺産のケルン大聖堂前でくつろぐ人々 マイン川と高層ビル。マインハッタン
世界遺産のケルン大聖堂前でくつろぐ人々 マイン川と高層ビル。マインハッタン

 今回訪れたケルン、アーヘンなどは古い街並みが印象的な街でした。日本のように新旧が入り交じり、テイストもなにもバラバラといったことはありません。日本も焼け野原にならなければ…と思ったのですが、ドイツも敗戦国ですから焼け野原になってしまった過去を持っています。ドイツは戦後街を忠実に復元していきました。歴史的な街並みを歩いているとドイツ人の自国文化に対する強い誇りを感じました。日本もぜひ見習いたいものですね。

 そんな中、他の都市とは一線を画す都市があります。フランクフルトです。古い街並みを復元したエリアもありますが、ドイツには珍しく高層ビルが建ち並んでいます。マイン川近くにあるこの高層ビル群は、マンハッタンをもじってマインハッタンと呼ばれているようです。フランクフルトは、欧州中央銀行とドイツ連邦銀行という2つの中央銀行が唯一存在する世界有数の金融都市なのです。

 近年ドイツの不動産には、アラブや中国など海外からの投資熱が高まっています。マインハッタンの一部にもオイルマネーが流れこんでいます。背景としては、移民政策による人口の維持と新築供給制限により不動産事情が安定しているためのようです。ドイツは今急速にグローバル化が進み、不動産価格も上昇するなど、さまざまな影響が出てきています。

ドイツの食事情に見る移民事情

種類も多くおいしそうなパンが並ぶ
種類も多くおいしそうなパンが並ぶ
朝食の様子。ハムやサラミなどの種類も豊富
朝食の様子。ハムやサラミなどの種類も豊富

 旅の楽しみは何といっても現地での食事です。しかしドイツ料理といわれて思い浮かぶのは、ソーセージとジャガイモとビールくらいです。料理にあまり期待するなという話もいただいていたので、一体ドイツはどんな食生活なのか、ドイツ料理はおいしいのか、そんな疑問を持っていました。

 まず一つ確信を得たのは、パンをよく食べるということです。ドイツの街を歩いているとそこかしこでパン屋さんを見かけます。パンの種類も多く、実にバラエティー豊かです。なんとドイツ国内には1500種類ものパンが存在し、1人当たりの年間消費量は約80キロだそうで、フランスでも約60キロですから、その消費量の多さが分かります。ちなみに日本では約17キロですから、ドイツは世界屈指のパン大国です。

 ドイツの代表的なパンは黒くて酸っぱいパンです。これは寒冷地のため寒さに強いライ麦しか育たなかったことと、このライ麦にはグルテンが少ないため、サワー種と呼ばれる発酵生地を使う必要があったこと、これらがあの独特な酸味と味わいをつくっているのです。ドイツパンにはバターやチーズ等の乳製品がよく合います。またハムやサラミ等の種類も充実しており、これらを組み合わせて楽しんでいるようです。

 もちろんパンだけでなく、特に大都市では普通に各国料理を食べることができます。特にフランクフルトは、4人に1人は外国人といわれているため、なおのことです。これは移民が大きく関係しています。ドイツの人口は約8000万人ですが、その約2割にあたる1600万人もの移民が住んでいます。ドイツも日本と同様出生率の低い国ですので、政策的に移民を受け入れているのです。2014年には134万人、2015年には200万人の移民を受け入れています。移民の中でもトルコ人の割合が一番多いのですが、確かにトルコ料理を多く目にする機会がありました。

 またアジア料理では、中華料理よりもベトナム料理を目にしました。東西時代、東ドイツとベトナムは同じ共産圏ということもあり、1980年代に労働協定により多くのベトナム人が東ドイツに出稼ぎに来ていました。ドイツ統合後は多くは強制退去させられることにはなりますが、その一部はドイツ国内に残ったようです。近年ドイツ国内でもおいしい生野菜が食べられるようになったらしいのですが、おかげで僕らもドイツでおいしいベトナム料理も食べることができました。

 3つのポイント、「東西問題」「グローバル化」「移民」はさまざまな場面で複雑に絡みながらいろいろな影響を及ぼしています。ドイツの事例は今後も登場するでしょうから、ドイツ理解の一助になればと思います。

 最後に、あまり期待しないようにいわれたドイツ料理でしたが、ビールやソーセージ、ジャガイモ、チーズなどもなかなかおいしかったです。何よりアイスバインとホワイトアスパラガスはとてもおいしかった。しかし連日だとドイツ料理は日本人にはきついかもしれません。そういうときはベトナム料理がオススメですよ。

団地再生まちづくり3

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団地再生・まちづくりプロジェクトの本質

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 団地再生支援協会
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団地再生まちづくり4

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団地再生支援協会 http://www.danchisaisei.org/