管理に関するFAQ

生活ルール

賃借人も役員になれるように管理規約を改定できるか

管理組合の理事長をしています。当マンションは組合員の高齢化が進み、役員のなり手不足が深刻化しています。賃借人も役員となることができるように管理規約を改定することを検討しているのですが、問題ないでしょうか。

 標準管理規約第1条では、管理規約制定の目的を「区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保すること」としています。
 役員は、これらの目的を果たすために、管理組合業務の執行役として、規約等の定めに従って誠実にその職務を遂行することが求められます。
 賃借人は、良好な住環境を確保するという点で組合員と同じ価値観を有する一方で、組合員に賃料を支払っていることから、長期的な建物の資産価値の維持向上を目的とした修繕積立金の増額検討等、賃料に影響を与える可能性のある問題については、必ずしも組合員と利害が一致しません。したがって、賃借人を役員とする管理規約の改定は好ましくないと考えます。
 組合員以外の者を役員とするのであれば、同居する配偶者や1親等の親族等といった組合員と利害関係が一致すると思われる範囲とすることが考えられるでしょう。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2016年8月掲載

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ペット飼育禁止の決議はペットを飼育している者の承諾が必要か

管理組合の理事長をしています。当管理組合では、長年、ペットの飼育が認められていましたが、先日の総会にてペットの飼育を禁止とする管理規約の変更が承認されました。総会終了後に、決議に反対したペットを飼育している組合員より『管理規約に「規約の制定、変更又は廃止が一部の組合員の権利に特別の影響を及ぼすべきときは、その承諾を得なければならない」と定めがあるため、今回の決議は無効である』との指摘がありました。ペット飼育禁止の決議は無効となるのでしょうか。当マンションの管理規約は、標準管理規約に準じています。

 今回のペット飼育を禁止とする規約変更が、ペットを飼育している者に特別の影響を及ぼすといえるのか否かについて、あくまで個別の事案ではありますが、参考として東京高裁で、以下の判断がなされたことを紹介します。
 【マンションの居住者の中に犬を飼育している区分所有者がいる場合に管理規約を改正して動物の飼育を禁止する規定を新設することは、その者の犬の飼育があくまでペットとしてのものであって、自閉症の家族の治療上必要であるとか、犬が家族の生活にとって客観的に必要不可欠の存在であるなどの特段の事情がない等判示の事実関係の下では、建物の区分所有等に関する法律31条1項にいう「一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼす」ものとはいえない】(事件番号:平成3(ネ)4490号)
 上記判例によりますと、飼育されているペットが盲導犬等の飼い主の生活・生存に不可欠な場合を除き、ペット飼育者の承諾を得なければならないとはいえず、今回のペット飼育を禁止とする管理規約の変更決議は有効といえるでしょう。
 しかし、ペットの飼育を禁止とする規約変更をしても、それをペット飼育者が受け入れなければ、将来にトラブルの禍根を残すこととなります。
 ことに、ペットの飼育を禁止することにより、これまで認められてきた犬を殺処分しなければならないケースがある場合には、区分所有者間に大きな亀裂を残すことになりかねません。それゆえ、総会決議の前には、アンケートや説明会等を実施し、ペット飼育を禁止する理由を組合員に周知し、特にペット飼育者の理解を得るように努めることが必要でしょう。
 また、場合によっては、管理規約改正に際し、経過規定を設け、現在飼育しているペットに限っての1代限りの飼育を認めるという対応も考えられます。

編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士
2017年12月掲載

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