| ■ | エレベーターを使わないため1階所有者の管理費を安くするという決議は有効か |
| Q: | 理事長です。管理規約に管理費等の負担額は、共用持分に応じて算出するとありますが、5年前、1階の住戸はエレベーターを使わないためほかの階の住戸より管理費を2000円安くするという総会決議がなされています。この決議は有効なのでしょうか。 |
| A: | 区分所有法第19条は「各共有者は、規約に別段の定めがない限り、その持分に応じて、共用部分の負担に任じ、共用部分から生ずる利益を収取する」と規定し、管理費等の負担の仕方を規定しています。そこで、管理規約には管理費等の負担割合を定められていますが、持分(住戸の専有面積)の割合に応じて負担するように定めるのが一般的です。 管理費等が持分の割合に応じて負担するように定められている場合には、その単価を変更する場合には、管理規約の変更に当たりませんので、普通決議で行うことができます。しかし、本問のように、持分の割合に応じて負担する管理規約と異なって、1階の区分所有者だけを有利に(従前の管理費が1万円だったのを8000円にする)取り扱う場合には、管理規約の変更に当たりますので、区分所有法第31条に基づく特別決議(区分所有者及び議決権の各4分の3以上の決議)で行うことが必要です。 そこで、5年前の決議が特別決議により可決されているかどうかによって、決議の効力が決することになります。 ところで、管理費等は、高層建物や敷地の維持・管理に必要な費用を区分所有者全体で負担するのが当然ですが、その負担の割合は、共用部分の利用の仕方が各区分所有者の利害は必ずしも一致しないので、共用部分から受ける利益の程度が必ず管理費用の額にすべて反映させることは不可能であり、また、エレベーターは、給排水設備や配管などと同じように高層住宅には不可欠な設備であり、1階部分及び2階以上の部分とも建物と一体となった設備であるために、その維持や補修に際しては建物の全体に影響を及ぼすことになるので、共用部分に対する各区分所有者の利害損失をある程度これを無視することもやむをえないといえます。裁判所の判例もこのように考えています。 そこで、エレベーターを利用しないで、1階の区分所有者の管理費等を他の区分所有者のそれより安くするという考えは、法律上違法であるとまではいえませんが、反面、適正でないといえるでしょう。 編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士 2006年3月掲載 |