| ■ | マンションの売主が倒産した場合の瑕疵修補は |
| Q: | マンションの売主が倒産してしまったため、ベランダの漏水など、瑕疵修補を建築工事会社に申し入れましたが、工事代金が支払われていないことを理由に無償での補修を断られました。なにか方策はありませんか。 |
| A: | 売主(注文者)から建築工事を請負った建設会社は、瑕疵のない建物を建築して引き渡す義務があり、建物に瑕疵がある場合、民法第634条により、注文者は請負人に対し、瑕疵修補又は損害賠償を請求することができますが、その期間は1年間です。 ところで、分譲マンションのような中高層建物を建築する場合には、工事契約の施工方法などについて、四会連合の協定請負工事約款を準則に契約するのが一般的ですから、コンクリート造りの建物には2年間の瑕疵担保責任が約束されていますし、その瑕疵が故意又は重大な過失による場合には、2年を10年と延長しています。 設問の場合は、瑕疵修補を請求できる期間内の事例であれば、売主は建設会社に瑕疵修補又は損害賠償を請求することができます。 ところで、瑕疵修補又は損害賠償の請求に関して、同時履行の抗弁権(双方が同時に義務を尽くすことが必要なこと)が成立することになり、建設会社は売主の瑕疵修補又は損害賠償の請求に関して、自己の報酬請求債権を主張でき、相殺もできます。 次に、隠れた瑕疵のある分譲マンションを購入した買主は売主に対して、民法第570条により民法第566条を準用し、建物に隠れた瑕疵がある場合は、売買の解除又は損害賠償を請求することができます。この期間は瑕疵を知ったときから1年です。ただし、多くの売買契約書においては、特約で引渡後2年間しか、瑕疵による賠償請求などができないようにされているようです(宅建業法の適用)。 以上の法的関係において、買主の売主に対する瑕疵担保責任の請求、及び売主の建設会社に対する瑕疵担保責任の請求が可能であるとして、買主は建設会社に瑕疵担保責任の請求ができるかということになります。 債権者代位権に関する民法第423条の規定により、債権者(買主)は自己の債権(売主に対する瑕疵担保債権)を保全するため債務者(売主)に属する権利(売主の建設会社に対する瑕疵担保請求権)を行使できることから、買主は、売主に対する瑕疵担保請求権をもって、売主の建設会社に対する瑕疵担保請求権(瑕疵修補又は損害賠償)を代位行使することができることになります。 しかし、建設会社は買主に対して、売主に対して主張できる事由を主張することができますから、建設会社は売主に対する報酬請求権をもって、買主の瑕疵担保請求権に同時履行の請求を主張できることになります。本設問の場合、建設会社の主張も理由があることになります。 ところで、瑕疵の内容にも関係しますが、建設会社に建築基準法(施工令)違反の欠陥がある場合は、買主は売主に対する瑕疵担保責任のほか建設会社に対する民法第709条(第715条)に規定する不法行為を問うことも可能でしょう。 この場合は、建設会社は買主に対し、売主に対する報酬未払いの主張をもって対抗できませんので、損害の賠償(瑕疵補修請求はできない)をしなければならないことになります。 本設問の解決にあたっては、瑕疵の内容がどのようなものであり、損害の程度(補修費用の額)がどの位であるか、それが法令に違反する瑕疵といえるか、また、建設会社の法的責任がどのような責任であるのかを専門家とも相談され、裁判による解決のための費用のことも考え、話合いによる解決がよい場合もあるでしょう。 編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士 2000年10月掲載 |