管理費の増額に納得していない区分所有者が増額前の管理費を供託した場合は

Q: 理事長です。総会にて管理費の増額を決議しました。しかし、ある区分所有者が増額に納得できないという理由で、増額前の管理費を供託し、「供託したので、債務は一切ない。不当な請求をするな」と言われました。今後、どのような対応をすればよいのでしょうか。

A: 区分所有法第7条において、供託とは、債務者が弁済の目的物(管理費)を供託所に供託することにより債務を免れるものです。供託すれば債務を履行したことになり、債権者は、遅延損害金の加算や債務不履行による契約の解約などはもちろん、その供託額分の請求も行えません。このような供託を弁済供託といいます。
供託自体は、債務者が供託所に出向き手続きを行えばできますが、弁済供託の第一条件として、債権者が受領を拒否したことや、債権者が行方不明などで支払いたくとも支払えないことなどが必要です。
本問の場合、管理組合が受領を拒否した訳ではありませんので、弁済供託の条件を満たしておらず、債務者は債務を履行したことにはなりません。
よって、管理組合がこの区分所有者に通常通り全額請求することや遅延損害金を付加することは何の問題もありませんし、債務不履行として全額について法的処置を講じることもできます。
ただし、管理組合は、現在供託されている増額前の管理費を受領することができますので、まずはそれを受領し、残額について法的処置を講じるという方法が1番よいと思います。
この場合、債務者に黙って受領すると、増額前の管理費でよいと認めたとされる可能性がありますので、事前に内容証明郵便で管理費の請求を行っていること、受領を拒否したことはないことを明記した上で、増額後の管理費を示し、その管理費の一部として受領するが、滞納額(数字で明記)は存在する旨の通知を行うとともに、供託所の払渡請求書の備考欄にも同様の記載をしておくのがよいでしょう。


編集/合人社計画研究所法務室
監修/桂・本田法律事務所
本田兆司弁護士
2006年4月掲載

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