| ■ | 4年前の少額訴訟で得た判決を基に強制執行を行うことはできますか |
| Q: | 4年前に管理費を滞納していた人に対して少額訴訟を行い、「滞納分を支払え」といった判決を得ていますが、滞納分が全く支払われていません。 最近、その滞納者が部屋を賃貸に出したため、家賃の差し押さえを行いたいと思います。判決を得てから、4年が経過していますがこの判決を基に差し押さえを行うことができますか? |
| A: | 債権は、その権利が行使できる時点から長い期間権利を行使しない場合、時効により消滅することになります。これを消滅時効といいます。 法が債権の消滅時効を認める理由は、長い間権利を行使しない状態が続くその平穏な状態を保護する必要があると判断し、長い間権利を行使しないことにより相手方の反論が困難になると判断したことなどから、消滅時効の制度を設けたものです。 本問は、4年前に管理費を滞納していた区分所有者に対して少額訴訟を行い、「金○○円(滞納管理費分)を支払え」という判決を得ているということですので、民事判決の債権となり、この債権は確定債権として10年の消滅時効にかかる債権になります(民法174条の2)。 それゆえ、4年が経過していますが、少額訴訟の判決に基づいて、強制執行(家賃の差押え)を行うことができます。 ところで、管理費債権の消滅時効は、最高裁判所の判決で5年を経過すると消滅時効にかかると判断されましたので、注意をしてください。 しかし、5年の消滅時効にかかる管理費債権も民事判決を得ると確定債権となり10年の消滅時効にかかる確定債権になります。この民事判決が10年の消滅時効にかかる確定債権にした理由は、債権には10年よりも短い期間(1年で消滅時効にかかる債権としては、商品の売買代金や電気料金などです)で消滅時効にかかる債権がありますが、その短期時効債権でせっかく民事判決を得ても、また1年で消滅時効にかかることになると、延々と裁判を続けるという労力を強いることになり、民事裁判の有効性がなくなりますので、10年の消滅時効になる確定債権としたのです。 それゆえ、5年の消滅時効にかかる管理費について、確定判決を得れば、10年の消滅時効にかかる確定債権となります。しかし、この確定債権も10年を経過すると消滅時効にかかりますので、早期に強制執行する必要があり、また強制執行をすれば時効が中断し、さらに10年を経過するまで消滅時効にはかからないことになります。 なお、少額訴訟の民事判決だけでなく、裁判上の調停や和解なども民事判決と同様の確定債権になることになっています。 強制執行には、今回の家賃の差押え以外に、区分所有者の給料・退職金・銀行預金などの債権や自動車などの動産を差押え、これを取立てまたは換価して債権を回収することができます。 本問のケースは、4年前に少額訴訟の確定判決を得ているということですから、区分所有者の家賃債権に強制執行をすることができます。 編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士 2005年2月掲載 |