| ■ | 管理費滞納者が死亡した場合はどうすればいいのか |
| Q: | 管理費を滞納していた区分所有者が死亡され、登記上はまだ死亡された本人の名義のままになっています。所有者の相続人が全ての相続を拒否されたのですが、ただちに競売等が行われる動きは見られません。当然管理費は納めてもらえないため、滞納額は膨れ上がる一方です。何かよい解決方法はないでしょうか。 |
| A: | 民法によれば、相続は死亡によって開始し(民法第882条)、相続人は被相続人(死亡した人のこと)の財産に属した一切の権利義務を承継します(民法第896条)から、死亡した人の遺した相続債務が相続財産を上回る場合にも当然に相続することになると、相続人には余りにも不合理、不都合な場合もあり、相続人は相続財産を調査して、相続を承認、限定承認(相続財産の範囲で相続債務の責任を負うこと)又は放棄するかを一定の期間(相続を知ったときから3ヶ月)、考慮できることにしました(民法第915条)。 この期間に、相続人が限定承認や放棄の手続きを取らない場合には、承認したとみなされます(民法第921条1号)。 本問の場合、死亡した人の滞納管理費等について、相続人が相続を拒否するとの意思を示していますが、相続を放棄するためには、家庭裁判所で相続放棄の申述をしなければなりません(民法第938条)。この手続きをしない場合には、適法な相続放棄とはなりません。 さて、相続人が適法な相続放棄の手続きをした場合には、相続財産を管理する人がいなくなりますので、相続財産は法人(会社の財産のようなもの)となり(民法第951条)、これを管理する相続財産管理人を選任して(民法第952条)、相続債権者は相続財産に権利を行使することになります。 本問のように相続放棄された場合には、管理組合は、その滞納管理費等を回収するために、通常は抵当権の付いた住宅ローン債務が残っているので、マンションの登記簿謄本を調査し、抵当債権者を捜し出して、抵当権者にマンションを競売してもらうのが一般的です。 管理組合も、滞納管理費等は一般債権者に優先する先取特権を認められるので、マンションを競売することもできますが、抵当債権は先取特権に優先し、昨今の不動産価格が下落している状況では、競売価格が抵当債権を下回ることも多く、競売手続きが取消されて実効性に乏しいといえます。 そこで、管理組合は抵当権者にマンションを競売(この場合、相続財産管理人が当事者となります)してもらい、その配当手続きに加わって配当請求を行い、競売代金が抵当債権を上回った場合には、優先的に配当を受けて回収することにします。 また、例え競売代金が抵当債権を下回った場合にも、競売物件の調査報告書には、滞納管理費等のあることが明記されるので、マンションを競落した人は、滞納管理費等があることを知って、マンションを競落することになります。 その結果、管理費等は特定承継人(マンションを競落した人も特定承継人になります)にも承継されるので(区分所有法第8条)、管理組合は競落人に対して滞納管理費等を請求することになりますが、競落人が滞納管理費等のあることを知らないというトラブルを避けられ、その回収も容易になるでしょう。 編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士 2003年4月掲載 |