行方不明の長期滞納者へ訴訟を行うにはどうすればよいか

Q: 理事長です。当マンションに長期滞納者がおり、総会にて訴訟を行うことが議決されました。しかし、その滞納者は、現在行方不明となっております。どうしたらよいでしょうか。

A: 訴状などの送り先(送達場所)が不明なため、滞納者に対し送達書類を届けることができない場合に、裁判所の掲示だけで「滞納者に訴状が届いたもの」と同じ効力を持たせる制度があります。
これは、「公示送達」といい、裁判所書記官が送達書類を保管し、いつでも滞納者に交付する旨を裁判所の掲示板に掲示し、その日から2週間が経過することで書類が送達されたと同じ効力が生じます。
ただし、この「公示送達」を行うには、次の要件を満たすことが必要です。「当事者の住所、居所その他送達をすべき場所が知れない場合」(民事訴訟法第110条第1項第1号)。これは、現住所や転居先と思われる場所および勤務先について調査したが判明しなかったことを証明すれば、公示送達の要件を満たすと考えてよいでしょう。
実際には、公示送達を行う場合、公示送達の申立てを行い、送達場所が不明であるという判断の資料を裁判所に提出することとなります。その際の判断資料とは、当事者(管理組合)が調査を行った報告書などをいいます。調査報告書には、調査の方法(調査者、調査場所、調査日時、第三者に面接して調査した場合には、被面接者の住所、氏名、面接内容)およびその結果を記載することになります。
以上の手続きを行い、公示送達をおこなうと、掲示をした日から2週間を経過することにより送達の効力が生じます。
よって、相手方は訴訟の呼び出しを受けたことになり、相手方が欠席しても判決を得ることができます。ただし、支払督促や少額訴訟は公示送達によることができません。なお、公示送達により訴訟を行い、判決を得たとしても、相手方からの直接的な取立ては困難なため、動産・不動産の差押えや賃借人がいる場合は、賃料の差押えを行い、未収管理費の取立てを行うことになると思われますので、事前に相手方の財産状況も確認しておくことが必要です。


編集/合人社計画研究所法務室
監修/桂・本田法律事務所
本田兆司弁護士
2000年6月掲載

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