| ■ | 契約内容不履行の工事の完了確認をした役員の責任は |
| Q: | 私のマンションでは、3年前に大規模修繕を実施しました。契約時とは異なり、約3分の2の規模で業者が修繕を実施し、当時の役員はそれに気付かずに完了確認を行い、業者へ工事代金を支払っていたことが発覚しました。これは当時の役員(監事を含め)の責任だと思うのですが、どの程度責任を追及できるのでしょうか。 |
| A: | 管理組合の役員の就任は、管理組合との間の委任契約になると解されます。民法の委任契約はその644条に「委任の本旨に従い、善良なる管理者の注意をもって委任事務を処理する義務を負う」と規定され、受任者(委任を受けた人)は、有償、無償を問わず、この注意義務を有することになり、この注意義務を怠ったときは、損害賠償を受けることもあります。この委任者の注意義務を一般的に「善管注意義務」と言って、「受任者の職業・地位・知識などにおいて一般的に要求される平均人の注意義務」を指すといわれています。 そうすると、管理組合の役員としては、「工事業者が契約内容の通りに適正に工事を実施されていること」、「実施された工事の対価として定められた代金の支払いを行うこと」などについて、注意を払う義務があるといえます。 当時の役員が契約内容とは違う工事が実施されていることを見過ごしたということですが、この見過ごしが、工事の外観を見れば、誰もが容易に気付くべきものであるとか、実施された工事が契約内容と違うことを知っていて黙っていたということであれば、善管注意義務違反としてその責任が問われます。 しかし、一般的に要求される知識などを超える専門知識が必要な場合や、監理業者や工事業者が虚偽の報告をなし、専門知識がなければ到底これを見破ることができない場合などは、責任を追及することは難しいと思われます。 この点、有償であろうと、無償であろうと異なることはありません。 いずれにしても、工事業者や工事監理業者は契約した内容を履行する責任があり、本問のケースは、業者が契約を誠実に履行していないといえますので、これら契約相手の責任を追及することが基本でしょう。 編集/合人社計画研究所法務室 監修/桂・本田法律事務所 本田兆司弁護士 2007年10月掲載 |