理事長の報告義務について

Q: 私は理事長をしています。先日、ペットの飼育について理事会で検討するため居住者にアンケートを行いました。その結果について、ある区分所有者が「書面で報告してくれ」と何度も家まで押しかけて来られました。私はアンケートは未集計段階なのでお断りしたのですが、集計がまとまった段階では、この区分所有者に書面で報告する義務があるのでしょうか。

A: 管理者の権利義務は、区分所有法第28条によると、「委任に関する規定(民法第645条)に従う」と定められており、民法第645条によると、「受任者は委任者の請求があるときは、いつでも委任事務の処理の状況を報告することを要す」と定められています。
ここで特定の一区分所有者が法にいう委任者にあたるのかどうかですが、受任者である理事長は、総会で選任された理事数名の中から互選によって選出され、個々の区分所有者から直接管理者となることを委任されたものではないけれども、区分所有者の総体としての管理組合により委任を受けているといえるでしょう。
また区分所有法第43条によると、管理者は少なくとも毎年1回集会(総会)において、管理者の取り扱う事務をすることが定められていて、特段の問題が生じない限り、一般的には年1回の報告で良いといえます。
本人の管理費の収納状況などは、各区分所有者に対して、告知すべきです(このために管理会社に事務を委託しています)が、本件のケースの場合、あくまでも理事会で検討するためのアンケートであり、必ずしも特定の区分所有者に対して個別に理事長が書面で報告する義務はなく、理事会で検討して、その報告方法(報告するべきか否かを含めて)、報告内容を決定すればよいと考えられます。
ただし、アンケートの結果については、組合員の関心のあることでしょうから、特定の個人に対してではなく、差し支えない範囲で集計したもの(もちろん匿名性のあるデータとして)を組合員全員または回答された組合員に公表されることが望まれます。
なお、規約・議事録は、区分所有法において利害関係人の請求があったときは正当な理由がある場合を除いて、閲覧を拒んではならないとなっています。
これらの公表、閲覧等の実務は、理事長自ら行う必要はなく、その実務について管理会社などに再委託して実施されればよいでしょう。


編集/合人社計画研究所法務室
監修/桂・本田法律事務所
本田兆司弁護士
2004年5月掲載

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