ペット問題の対応について

Q: ペット問題への対応についておうかがいします。管理規約では犬について50cm以下の小型犬であれば飼ってもよいことになっていますが、明らかに100cm以上の犬を飼っている居住者がいます。他の居住者から規約違反であることへの指摘がありますが、飼主は全く聞く耳を持っていません。そこで、対応する手段の1つとして訴訟を行った場合、どのような結果が予想されるのでしょうか。

A: ペットの飼育に関しては、規約でペット飼育の禁止規定(以下「禁止規定」という)がある場合やその禁止内容などにより困難な問題があります。
小鳥やラットのように外出させず、泣き声も騒音といえないペットを飼育する場合と、犬のように散歩させたり、泣き声や足音が聞こえるペットを飼育する場合とでは、形式的には全て規約違反といえますが、小鳥を飼育している場合にまで規約違反として飼育禁止の裁判に訴えて、勝訴できるかは疑問です。
すなわち、形式的に規約違反があるというだけでは、管理組合がその是正を勧告することはできても、その飼育者がこれに従わない場合には、裁判に訴えても勝訴できない場合があるでしょう。
そこで、裁判を訴えることができるのは、規約に禁止規定がある上で、さらに、その飼育が区分所有法第6条1項に規定する「区分所有者の共同の利益に反する行為」に該当するような場合には、飼育を禁止する裁判を訴えることが可能であり、飼育をしないように判決を得ることがあります。
判例も飼育を禁止する判決を言い渡し、損害賠償を認めた事例もあります。
ところで、本問では、ペットの飼育を全面的に禁止するのではなく、小型犬の飼育は認められるが、大型犬の飼育は禁止する規約になっているので、少し複雑です。
なぜなら、50cm以下の犬は飼育できるが、60cmの犬は飼育できないということになると、何故に60cmの犬はいけないのか、合理的な理由が定かではないからです。
ことに子犬の時から飼育していて、成長して60cmの犬になったら駄目だというと、子犬のときから育てた居住者はなかなか飼育をやめることは困難であって、紛争が絶えなくなります。
このような規約の趣旨は、おそらく子犬はよいというのではなく、成長しても50cm以上にならない小型犬の飼育はよいという趣旨と考えられます。
そうであれば、管理組合にペット委員会のような組織を作り、ペットを飼育する場合には委員会の許可を要するようにし、許可を得ないで飼育してはならないという規約を設けている事例もあるようです。
そしてこのような規約の下では、許可を得ずに大型犬を飼育した場合には、管理組合が大型犬の飼育を禁止するように居住者に求めたり、これに従わない場合には、規約違反となるだけでなく、「共同の利益に反する」行為として裁判に訴えて解決を図ることも可能だといえます。
そこで、本問のケースですが、100cmの大型犬を飼育したことは規約違反にあたるとして裁判に訴えた場合、まだこのような事例の判決は見当たりません。
結論的には、第1に、規約違反だけで勝訴できるかは疑問です。
先程も述べたように、形式的には50cmの犬と60cmの犬とで飼育を禁止する合理的な根拠が乏しいからです。そのためにも、飼育のために管理組合の許可を要するなどの手続規定を設けるのがよいでしょう。
しかし、第2に、大型犬であるために騒音(階下に足音が響くなど)が激しいこと、他の居住者に恐怖心を与えることなど住居の平穏を害するような事実があれば、「共同利益に反する」行為に該当するといえるので、裁判に訴えれば、勝訴できると考えられます。
いずれにしても、紛争を防ぐためにも、飼育をする場合には許可を要するなどの手続規定を設け、大型犬の飼育は当然のこと、子犬の飼育でも大型犬になるような場合は許可できないような規約にしておくべきでしょう。


編集/合人社計画研究所法務室
監修/桂・本田法律事務所
本田兆司弁護士 
2002年3月掲載

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